キズナ

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「任務了解。……始めようか。“猟犬遊び”の演目を」

長い前髪が印象的な瘦身のハウンド。
関節の目立たない流線型の肉体。
一目でなにかスポーツをやっているとわかると同時に、線の細い容貌もあって性別が読みにくい。
聞かれなければ答えないがいちおう男性。

無口だが一度口を開けばわりと辛辣に正論を吐く。
一方で人々の営みには温かい目を向けており、具体的にはおばあちゃんが困っていたりするとそっと荷物を持ったりする。
たまに見せる笑顔の破壊力がデカい。

元々は体操選手であり、全国大会での入賞経験もある前途有望なアクロバットダンサー。
オーナーは見つからなかったものの、高い身体能力と怜悧ながら比較的温厚な性格を買われて“戯作三昧”に殺されてからも数年間冷凍保存されていた。

ハウンドとなってからの後遺症として、殺される以前の記憶を自分のものとして認識できない。
まるで辞書に書かれた平坦な文字のように、客観的にしか認知できなくなった。

総じて、ハウンドというともすればむごい環境の中でもマイペースを貫いている。
終わりが近いことも喪失が続くことも本心から理解できているようだが、どことなく「最初から知っていた」ような諦めが覗いている。

公的な記録から彼の出自については調査が完了している。
スポーツ教育に力を入れていたとある孤児院の出身。世界大会に出るような選手や有力なパフォーマーを何人も輩出しているが、記録によく目をこらせば入所数と出所数が合わない───在籍中に、何人かが失踪しているとわかる。
キセキ使い出現以前の人体兵器研究施設との関連は不明。調査続行不可。
（子どもを人体実験施設に流していた孤児院出身。“戯作三昧”に殺されたのは偶然だが、冷凍保存には大元の施設の意向があったかもしれない）

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