命じられたままに、執拗なまでに障害を破壊する。
周りの人間からは窘められ、止められ、憐れまれるが、それでも辞めない。
それは、いつしか家族に褒められた善行が歪んで定着したものだ。

渚は商売で成功した両親の元で育った。
ある日の夜、商売競争で渚の両親に負けた男がキセキ使いとなり家に現れると、両親のアキレス腱を切断して渚を言葉巧みに操り、その手で家族を殺めされる事件が発生した。
渚自身もその後、わけもわからないまま犯人に凌辱され、あっさりと殺害されている。

裕福で温かい家庭だった。
両親からの愛を一身に受けて育つ中、両親から人に優しくすること、善い行いをすることを大切にするように教えられる。
渚もその教えを守り、家事手伝いや友人の手助けなどを行うようになる。
善行をすることで両親から褒められ、それが仕事で忙しい両親との一番のつながりであると感じた渚は、やがて善行をすることに執着してしまう。
そして、それが犯人に利用されてしまい、「いいこと」をしているつもりで両親をその手で殺めることとなってしまった。