キズナ

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「夕星って正直呼びにくくない？ユウって呼んでよ！」

生前、自分の可愛い道を突き進んだ結果いわゆるギャルとして生きてきたが帰り道でキセキ使いに不運にも遭遇し死んでしまった女子高生。夕星と言う名は天体観測が好きだった祖父が金星の様にキラキラ輝く女性になって欲しいと付けたもの。略してユウと呼べるので気に入っている。難しいことはよくわからないがとりあえずオーナーが無理に笑っているのが気に食わない。だが、力加減が分からず結構な頻度でものを壊してしまうので草加に迷惑かけてるなと言う自覚はある。

「ちっちゃい頃さ…あたしって泣き虫だったんだよね…でも、そんなあたしでもヒーローはいたんだよ？周りからすれば小さなことかもだけどね？って言うか本人すら覚えてるのかどうかわかんないけど。」
　夕星は昔パートナーである草加凌と出会ったことがある。その日夕星は七五三のお祝いのため祖父と非番中の父と一緒に神社へ訪れていたのだが途中で父は応援として駆り出され写真を撮ったあとすぐに夕星を置いて現場へ向かってしまった。それに対して拗ねた夕星は祖父が神主と話している隙に神社を抜け出し併設されていた公園を歩いていたのだが自分の知らない場所まで来てしまい子供特有の恐怖心から泣いてしまった。大人たちはどうしていいか分からず困惑して何も出来ずにいた。そんな夕星に話しかけ慰め一緒に祖父を探してくれた学生が草加だった。草加本人が覚えているかどうかは夕星にとっては関係なく、彼女にとってはヒーローなのである。
　「ん？何作ってるのか？…内緒♪私が死んだら見てもいいよ」
　トトパの一件でバディである草加の過去と心情を知った夕星はなぜ自分が草加の張り付いた笑顔が気に入らない理由がなんとなくわかった気がした。草加の笑顔は全部を諦めた上での苦しそうな笑顔だから気に食わなかったのだと最近合点がいった。そしてその笑顔が消えて少し肩の力が抜けている気がしているので少し安心している。最近力を入れているのがスクラップブック作りである。キズナが壊れれば壊れるほど思い出が心から抜け落ちていくのが怖いから、みんなが忘れても自分が生きている証を何か残したいから。だから、思い出を写真という形で残し関連記事を隣に貼り付けてどんなことがあったのか必死に守ってかき集めている。
追記:スクラップブックの裏表紙の内側に広い隠しポケットがある。そこには草加や御影達に宛てた手紙が入っていたりする。内容は今までの感謝の気持ちと草加に宛てた気持ちを書き綴っている。何度も何度も書き直した跡がある。

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