キズナ

設定・その他メモ

　白に近い灰髪が特徴的なハウンド。楽観的な性格で、ハウンドとしての二度目の生についても「見れないと思ってた新作映画が見れるなんてラッキー！」と極めて前向きにとらえている。普段は平和主義者な一面が目立つが、戦闘行動に入ると一転、容赦なく敵に向かっていく。拳銃のリーチをかなぐり捨てて相手の懐に飛び込む近距離戦闘が得意。


　水分了はどこにでもいる男子学生であった。親は厳しく、良い大学に行けと言う。友人は多いが、みな真面目な連中で親の愚痴を話すには分が悪い。人より少しばかり楽観的で小器用だった彼は、この年齢の子どもが良く感じる程度に、日々に息詰まりを感じていた。
　そんな彼の息抜きは映画を見ること。２時間すこしで描かれる他者の人生に没入している時間は、自分の人生を忘れられた。
　その日は昼からの授業をサボって、一人で映画館に来ていた。穏やかな昼下がりに貸し切りのスクリーンで映画を見る。少しばかりの背徳感とそれに伴う興奮。その代償に彼が奪われたのは命だった。
　その時何があったのか、水分本人が語ることはあまりない。分かっているのは、ある映画館でキセキ使いが事件を起こしたこと。平日昼過ぎの劇場には幸いにも人は少なく、被害は死者一名、ケガ人が数名。あとは、あるスタッフが殺されそうになった時、一人の学生が前に出たという真偽不明の証言くらいのものである。
　しかしそれらの情報をSIDは重視していない。いずれにせよ、劇場襲撃のキセキ使いは未だ健在であり、水分はハウンドとしての適性を持っていた。重要なのはその事実のみであるからだ。

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