容姿・経歴・その他メモ

貧乏育ちの苦労人。幼少期の友人は、よくしてくれたのは間違いないのだが、ふとした瞬間に暮らしの違いを嗅ぎ取れてしまっていた。
ならば金を稼ごう、誰にも負けないくらい稼ごう。「普通の」家で生まれ育っていられたなら湧かなかったであろう復讐じみた熱量の向上心（と呼ぶには捻くれているが）を原動力に、知識を付け、能力を磨き、金払いさえ良いなら怪しげなバイトにだって飛びついた。

或る日見つけた、とんでもない額の報酬を出す研究員の募集。
「そいつ」は金持ちで、研究内容に興奮する気色悪い変人で、嫌な女だった。金払いだけは最高だったので仕事は続けた。
長く勤めれば心持ちも変わるもので。全く変わりなく気色悪い変人の嫌な女だと思っているが、こいつに気に居られれば逆玉の輿なんじゃないかとか、いい研究成果が褒められたら悪い気はしないとか、こいつの視界に映っていたいとか、想ってしまった。
レネゲイドウイルスの被験体として、自ら志願した。

根を張ったレネゲイドウイルスは、珍しくもなんともない、よくある症例だった。
コードネーム、“カム・トゥ・ナッシング”――努力は無駄に終わる。
伝えないままの慕情を仕舞いこみ、研究員から実戦のエージェントへ異動した。

何も残らない。何も残せない。何も果たせない。全ては水の泡。
しょうがないじゃないか、想ってしまったのだから。

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