おそらく孤児の少年。光のない淀んだ目は世界を正しく映していない。

「愛」に対する認識が大きく歪んでおり、「苦痛」や「暴力」を愛と認識し、
そしてそれを受けるためであれば文字通り無制限にどんなことでも行う。
命令されるならば、自ら銃に弾を込め、銃口を咥え、引き金を引くということですら、顔色一つ変えずに行うだろう。
行動の根底は「愛」を「手に入れる」ことに特化しており、
その過程で提示された条件に従いあらゆるものを手に入れる様から、「強欲」の位を受けるまでになった。
彼の行う資金調達の基本は他者を利用する行為であり、そして他者を食い物にする行為である。

現在のところ、その「愛」を求める対象はシスターソフィアである。
本質的にそれが誰であるかということは彼にとって重要ではない。ただ、それは彼が望む相手でなければならない。
セルの運営のため彼の行動原理は有用であり、また彼も「愛」を受けるためであればあらゆる行動を行うことから、
セル単位で利害が一致していることもあり、この状態が維持されるよう仕向けられているフシがある。
#その結果生まれた光景は孤児院運営の傍らローティーンの少年をボコる有様であり、さながら倫理の葬儀場である。
#もっとも、その孤児院も真っ当でないのは事実だが……。

愛を求める相手を除いた他者については特に興味があるわけではない。
基本的には、自分の目的を果たす手駒だと思っている。有用性を見い出せる相手であれば、手助けくらいはするだろう。

失われた記憶の向こう側では親から「愛され」て育った環境が見て取れる。
親はこちらから「愛した」ら死んだ。まぁ、そういうこともある。
彼の狂気は衝動/欲望の歪みから来ているのではなく、彼自身が元々持っている性質にほかならない。
彼の真なる欲望は、世界のすべてを「愛する」ことである
我々の言葉に翻訳すれば、世界を苦痛で満たし、世界に自分に対する無限の献身を迫るものである。
とはいえ、根底に愛があるので、実は他者への興味は本来のほうが濃い。