オーヴァードは選ばれた民である、そう狂信するステイト・オブ・グレイス。
当時、彼らが設けたオーヴァードだけが暮らす閉鎖コミュニティ、
通称『楽園』で暮らすオーヴァードの間に生まれた第一世代の子供。

レネゲイドウイルス感染者ではあったが、生まれつきAWFの素質が有り、実は幼少期に発症していない。

『楽園』では「オーヴァードは選民」「非オーヴァードは淘汰されるべき」という偏向教育を受ける。
その中で『楽園』近くに併設された「新人類研究所」の非人道的な実験の結果、人間があっけなく命を落とす様を見てきた。
けれど、「選ばれたオーヴァード」よりも、外からやってきた「あっけない人間」に興味を持ってしまう。

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ある晩、夢を見た。
一頭の蛇が、話し相手になってくれる夢だ。
曰く、ボクの夢や願い、欲望が何なのか知りたいらしい。
ボクは周りのみんなと同じように、「オーヴァードだけの理想郷」と言ってみたが、
蛇はどうも納得していなかった。

蛇はそんなボクの話をよく聞いてくれた。
拙い説明だったけど、「あっけない人間」について思っていることや興味を持っている話をすると、
蛇は満足そうにこういった。

「その願いは正しいとも。ためらうことなく、実現するといい」
いいんだ。そっか。

楽園の民は、堕落した。発症したのである。

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夢から醒めると、『楽園』は自分の居場所じゃない気がしてきた。
育ててくれた家族や仲間は嫌いじゃないけど、『オーヴァードだけの理想郷』は好きになれない。
だったら、ためらうことなく、実現してみよう。
そう思い、『楽園』を抜けた。

後に、あの蛇はFHの最初の12人、リエゾンロード“誘惑者"テトだったと知る。
その縁もあって、今はFHに身を寄せている。

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「高橋　七海」はUGN潜伏用の偽名。
『楽園』にいた頃は、夏娃（スィアワ）と呼ばれていた。