温厚で健気な少女。人によっては儚い印象を抱くこともあるかもしれない。
ボードゲームやカードゲームを愛しており、稀に自作もする。ボードゲーム部を立ち上げるのが夢で、部員を探している。
勝敗にはあまり頓着しておらず、みんなで楽しむことを目的としている。一方で、他人が勝ち負けに拘る場合はその気持ちを肯定し、真剣勝負を挑まれたときは、同じ熱量で相手をする。

自身のオリジナルにはやや複雑な感情を抱いており、「遺志を継ぎたい」という気持ち半分、「紛い物が生きてていいのだろうか」という気持ち半分、といった感じ。

身寄りのない自分を保護し、身分を保証してくれたUGNには感謝しているが、忠誠心という概念についてはピンときていない。「仕事」と割り切ってジャームやFHと戦っているが、必ずしも悪感情を抱いているわけではない。
「罪を憎んで、人を憎まず」といったタイプ。

割り切りがよく、感情を持ち越すことが少ない。UGNとしての活動はいうに及ばず、ゲームの勝敗に関しても、日常生活に持ち込むことは少ない。

ボードゲームやカードゲームが得意で、負けられない勝負で、彼女が敗北するところを見た人は一人もいない。分析力や判断力だけでなく、天運もずば抜けているが、反射神経だけはあまりよくない。
見た目通りの運動音痴で、スタミナもあまりない。勉学については、真剣ではないが要点を押さえるのが得意であり、テストをパズルゲーム感覚で解いてしまう。逆に、1:1の暗記系科目(英単語の書き取り、公民等)は苦手。

以上はエフェクトやレネゲイドとは関係ない、彼女の人としての能力。オーヴァードとしての彼女の能力は、その戦術眼を下敷きに、近代西洋魔術の理論で補強したものとなっており、支援に特化している。
戦場に生命の樹をモチーフにした盤面を描き出し、これに敵味方の位置を照応させて戦況を把握し、エフェクトを行使する。
カードの形をした特殊霊装も併用する。
故に、彼女は「player」であり、「prayer」でもある。

彼女はただのオーヴァードではない。「小鳥遊　稜希」という、哀れな運命を辿った少女の、忘れ形見だ。
ただの人間であったころ、小鳥遊稜希は望んでいた。「自分がもう一人いたらいいのに」と。
そんな幼稚な馬鹿話が、しかしとんでもない形で現実になってしまった。
ある男に騙されて、「αトランス」を打ち込まれた彼女は「ジャーム」へと変貌。自らの肉体をモルフェウスのエフェクトで複製し、記憶をブラックドッグのエフェクトで複写して、無数のコピーを粗製濫造する化物は、UGNによって討伐された。

その複製体の、たった1人の生き残り。コピーに失敗した結果、唯一ジャームではないオーヴァードとして生まれたのが、後に「常盤樹」と名付けられる少女だった。
UGNは、「小鳥遊稜希」の死を事故として隠蔽し、その複製体には別の名前と戸籍、そして居場所を与えた。

常盤樹と名付けられた少女は、いまでもときどき思い出す。
「悲運な少女の運命を踏み台に、のうのうと生きる権利が、果たして自分にあるのだろうか……」と。