容姿・経歴・その他メモ

この支部の前支部長は馬鹿だった。
じゃなかったら仕事で拾った見ず知らずのガキにテメェの支部を渡したりなんかしないだろ？
確かにオレには身寄りがなくて、アイツがオレの保護者みたいなもんだったから、アイツがおっ死ぬって事はオレの居場所がなくなる訳だが、だからって普通次の支部長にするか？
オレはそんな事望んだ覚えはないし、アイツにだってメリットがない、いったい何考えてるんだアイツは！？
本当に、最後まで訳のわからない奴だった。

まあ譲られたのなら貰いわするが、だからと言ってアイツのように他人に優しくなんてオレには出来ない。
だからアイツに習わず、好き勝手にやらせて貰った。
結果として、支部にいたエージェントは殆ど居なくなった。今残ってるのは徒野が残したこの場所に特別思い入れがある奴くらいだろう。
知らねぇけど。
間違ってもオレの下で働きたいからなんて奴は居るはずがない。
そんな事をしていたら、肉組みの木偶人形(マリオネッタ)なんて言う蔑称が付いていた。
なんでも、偉そうなだけで自分一人では何も出来ない人形みたいな奴だからだそうだ。
全くもってその通り、的を得ていて笑っちまう。考えた奴はセンスがある。
だからオレのコードネームにしてやろう。

きっとこのままだと全部なくなってしまうだろう。アイツに貰った物を全部台無しにしてしまうだろう。


でもそれで良い。
それが良い。
だって、もう幸なんてわからない。
笑顔が怖い、温もりが怖い、優しさが怖い。
当たり前の幸福がただ怖くて仕方がない。
だからどうか私に優しくしないでください。
気に入らないと恨んでください。
醜いと蔑んでください。
嫌ってください。
辱めてください。
捨てられたゴミに夢を見せるのをやめてください。
当たり前なんていらないんです。
だからどうかお願いです。
誰も私を愛さないでください。

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