容姿・経歴・その他メモ

（株）NINAの社長令嬢。現在、高校1年生。
学校指定の制服（黒）を着て、帽子を目深に被っている。帽子を脱いでいる所はほとんど見られない。
常に使用人である安良田を連れ歩いており、一人でいる所を見るのも難しいだろう。
趣味は園芸。園芸部には所属していないが、自宅の庭で様々な植物を育成している。
一見すると、とても人当たりがよく、礼儀正しいお嬢様に見える。
相手の才能を花と呼ぶ。植物の花と同じように、それを取り扱うことが得意。表裏問わず、人材を育てた経歴が残っている。

オーヴァードへの覚醒が早く、エージェント歴も長いが昨年まで休養扱いとなっていた。
復帰したのは今年の4月、高校入学と同時である。その後、しばらくの訓練期間を経てN市支部に配属となった。
育成業の方は全面休業中。

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休養前の彼女は赤のロリータ服がトレードマーク。
攻撃手段を持たないため、常に誰かと組んで任務に当たっていた。
特定の相棒や所属支部はなく、派遣されては現地の者を手助けする形が多かった。
同時に人材育成を行っており、彼女の手によって成長した者は多い。
その一方で、彼女に感謝しているというものは少ない。
彼女の育成相手への対応は、植物へのそれと同じで、相手の心情を考慮していなかったためである。

ある時、彼女は任務の最中に「たまたま」孤立した。ある種よくある話であるが、その日は運悪くFHと遭遇した。
一人で戦う力を持たない彼女が捕らえられるのは当然の結果であった。
捕らえられた後については、彼女は口を噤んだ。
救出後の彼女は、常に使用人を連れ歩くようになり、帽子を被るようになり、制服を着ている事が増えた。

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履歴

観察日記

彼を育てる事を決めたわ。
人にするのは久しぶりだから、色々と忘れないように記録を付けようと思うの。

第一話　『"F" Performance』
彼を見つけたのは裏路地の一角。花音に引張り出されて、強引に連れてこられたお祭りでの出来事だったわね。私は自分の庭にいるのが一番癒されるというのに、ほんと、強引な使用人。
脱線したわ。彼を見た時、初めは巻き込まれた一般人かと思ったわ。でも、そうじゃなかった。オーヴァードに目覚めたばかりの彼が、自分で危機を脱したみたい。武器も何もなくよ？間違いなく、オーヴァードとしての才能があるわ。望ましい才能、ではないけれど、ないよりはずっといい。
でも、ほんの少し性格に難があるわね。引っ込み思案というか、目立つのが嫌いというか……大丈夫かしら。
どちらにせよ、何もできない私には協力者が必要。まだ苗でさえない種の彼だけど、選択肢はないわ。彼を一人前のエージェントに、立派な花にしてみせる。
目覚めた直後、簡単な説明が月那センパイからあったわ。それに対しては自身がオーヴァードになった後の受け入れの速さもいいわね。理解できたのか、理解できていなくてもまずは受け入れて前を見たのか、どちらにしてもエージェントに必要な素質ね。
初めてなのに闘う度胸もちゃんと見せてくれたわ。日常から非日常に連れてこられた時、血塗られた世界を見せられた時、普通は戸惑うわ。逃げ出したって文句は言われない。そこできちんと戦う事を選べるのも、立派な才能よね。
ついでだけど春日恭二の顔も覚えていたみたい。彼に恨み？を持っていたような気もしたけど、あれは係長みたいなものなのよね。まぁ、そのうち気づくでしょう。
調査に関してはまだまだかしら。この辺りは慣れが大きいから、教えればきっとすぐね。
何はともあれ、たまには出歩いてみるものね。ほんの少しだけだけど、希望が見えてきたのかもしれないわ。

第二話　『"T" and "T"』
まずは一安心。何も知らない彼に、私は私の提示できるもののほとんどを出したわ。
情報を渡し、自身の状況をよく理解してもらって、その上で選んでもらった。
……我ながら選択肢になってない3択だったと思うけれど、彼の為にも、私の為にもなるし、しょうがないわよね。
ともあれ、これから彼は私の物、育成対象よ。私の庭園に植えられたのだから、枯れる事も歪む事も許さない。ちゃんと、一番いい形にしてあげないとね。
なんだか初めてエージェントの面倒を見ることになった時か、御婆様の花壇の一角をもらった時みたいな心地。
自分さえも明日どうなっているかわからないのに、我ながら暢気な事。
まぁ、たまには、こういう気分もいいのかもしれないわ。
ひと段落してから調べてみたけれど、調べれば調べるほど驚かされるわ。
成績優秀、運動能力も申し分なし、度胸もある、空間把握能力も期待できそう。
見様見真似でゲートの生成に成功したのも素晴らしいわね。私の個人的な意見だけど、下手なエフェクトよりもゲートの方が難しいと思うわ。重力を作るよりも、任意地点を繋げる方が考える事も多いと思うの。
せっかく才能を見せてくれたのだし、今後はそっちを重点的に伸ばしていきましょう。
RCの空間的トレーニングと座標、弾道力学とかその辺りがいいかしら。
ほんと、朝田の目ぼしい生徒は一通りチェックしたと思ってたのに、なんで見落としていたのかしら。もっと早く見つけたかったわ。
そうしたら、表舞台で輝かせてあげられたのに。
いや、目立つのは嫌いと言っていたわね。じゃあ、見つけたとしても無理だったのかしら。とっても残念だけど。

育て始めてしばらく、ハロウィンの日がやってきたわ。
仕上がりは上々、突貫だけど十分闘える実力と、エージェントとして仕事ができる知識は身についたはず。
ほんと、物覚えのいい相手は素敵ね。やる気も出してくれているようだし。命がかかっているから当然と言えば当然だけど。

話は脱線するけど調査で溶け込むためとはいえ、ハロウィンで仮装する必要ってあるのかしら。
正直気乗りしないわ。一番のお気に入りではないけれど、この服も気に入っているのだもの。
仕方なく、花音と一緒なら仮装に見えなくもないで通したけど、今思えばそれもそれで納得いかないわ。

脱線終了、今回のおかしな悪戯っ子さんは、ハロウィンイベントの会場がターゲットの様ね。
彼の聞き込み、情報の精査、諸々は及第点かしら。予想の範疇ね。
調査途中で渡された飲み物は正直飲みたくはなかったけれど、変に怪しまれるのも問題。飲まざるを得なかったわ。
私が飲んで、大丈夫だと言ったら、彼も飲んでしまうわよね……悪影響がなければいいけれど。上手いことごまかすべきだったわね。
前回も一般人に被害は出ていたけど、今回は目の前でそれを目撃することになったわね。気分は悪いけど、私達は後手に回りがちだから、ある程度は仕方ないわ。私達は英雄ではないし。
初めてそういう被害を見ることになったけど、彼は大丈夫かしら。表情から衝撃を受けていたようだけれど。受け入れてもらうしかないわね。
……こういう時いいフォローができれば、あんな失敗はしなかったのかしら。でも、いい言葉は思いつかないわ。自力で乗り越えて欲しい、かしら。
今回の相手JokerとAceはなかなかの強敵だったわね。
用意もよかったし、戦力も強力。まんまと出し抜かれてしまったわ。
素直に賞賛に値する、優秀な相手ね。だからこそ、塵になってしまったのは少し残念。情報も色々得られたでしょうに。
……今回の戦闘の、彼の回避に関しては少し考えなくてはいけないわね。
理論を教えて、頭を使う事が増えたからか、身体を動かす方が疎かになってしまったのかしら。私の落ち度ね。
次からは格闘訓練とその合間に簡単な問題でも出す練習をしましょうか。エフェクトさえないなら花音で十分相手にはなるでしょうし。

第3話『"T" you, help us』
彼の成長は順調そのもの。必要に迫られてかなり駆け足で詰め込んでいるけど、それを問題なく吸収しているわ。
だからこそもったいないわ。ほんとはもっとじっくり形にしたいのに、時間がそれを許してくれない。
出来る限りの事を教えて、もしもの後でもなんとかなるように残しておかないとね。

朝田の体育祭と文化祭はまとまっているのね。初めて知ったわ。
思えば私が攫われたのって中学校の文化祭前後位だから、実は初参加ね。
働かないわけにもいかないし、いくつか頑丈な子達を飾らせてもらって、私自身は会計ね。
彼は高校生の軽いノリ？でメイド服を着させられそうになっていたわ。
それはそれで面白いと思うけれど、多分執事服のが似合うと思うのよね。案の定、よく似合っていたわ。

事件の予感から、一旦調査することになったけど、希センパイが赤石を見つけ出して壊している現場を見た時は肝を冷やしたわね
話を聞く限り校内に設置されている石の場所がわかるということらしいわ。
……つまり、そういうことよね。これはお話しなければと思い手を回すことにしたわ。
私はもうじきだから最悪いいけれど、私が見つかることで彼には迷惑はかけられない。できる限りの手は打たないとね。
……結論から言えば考えすぎだったわ。希センパイは最初から、感知手段をUGNに渡す気はなかったし、私達の状況も理解してくれたわ
やはり生徒会役員になるような人を相手取るには十分な材料が必要ね。
希センパイにいらない気に入られ方をするという損害は大きかったけれど、懸念は大体解消されたし、良しとしましょう。
懸念も解消して、本格的に赤石探しをすることになったから、彼と一緒に学園祭を回りながら探すことにしたわ。
行ったのは舞台と屋台エリアだったかしら。


余談だけど、落ち着いた後に花音のメイド服を着て接客することになったわ。
出来なくはないけど……少しだけもやもやしたことを残しておくわ

第4話『Let's Keep Being Good "F"』
そろそろ12月も終わり。よくここまで耐えられたと、自分をほめてあげたいわ。
でも多分そろそろ限界。
きっと大丈夫。後は、花音とタクヤが何とかしてくれるわ。
彼の咲ききった様を見られないのは非常に残念だけど、こればかりはあきらめるしかないわね。

クリスマスにも生意気な悪戯っ子は働き者みたいね。聖なる祝祭位休暇にしたらいいのに。
感覚的に多分これが最後の仕事でしょう。無事に帰ってきても、何か起きないように部屋にこもるべきね。
もしも、もしもの時は、一番綺麗な物を見て、終わりたいわ。

さて、ここでこの日記も終わりね。そのうち誰かに見つかるのかしら。
おそらく見つけるのは花音でしょう。処分なり保管なり好きにしていいからね。
じゃあ、観察日記はこれでおしまい。私の花たちの道行きが幸福でありますように。




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助かってしまったわ。

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