かつて、オーヴァードでも何でもない時、とある少女とユニットとしてアイドルをやっていた。
元から友人であったその子に面の良さとダンスの才能といったものを見込まれて、オーディションに騙されて連れ込まれたせいで。
そんな始まりだが、一度引き受けたからには頂点を目指すと積極的だった。そしてトップアイドルになりたいと望む友人も全力で。
順風満帆とは言えないまでも、少しずつステップアップして、もっと頑張ろうと笑い合っていた。
そうやって人気になっていった二人がFHの陰謀に巻き込まれるまでは。
一人は生き残り、一人は死んでしまった。
そうやって二人の挑戦は終わったのだ。

相棒を失って、夢を見失って。八つ当たりじみた獣の様にオーヴァードとしての闘争に明け暮れる日々を送っていたけれど。
ある日出会った、後輩のアイドルに『かつて憧れた貴女の姿をもう一度見たい』と乞われて。
一人になった自分にそんな資格も能力もない、と一度は突き放したけれど。
その言葉に戸惑って、迷って、苦しんで、その先の答えを求めて。
引き受けた以上の責任がある、そう内心にどこか言い訳しながらもう一度頂点を目指そうと思ったのだ。