体内の化学物質が常人の十倍以上分泌される異常体質を持つ、両足が義足の男。脚を失った痛みを。喪失感を埋めるために、平時であっても大量に分泌されていた化学物質が必要以上に分泌されるようになった。体内麻薬の過剰摂取によって体を滅ぼさないように、義足には注射器が刺さっている。定期的に体内の成分を身体から吸い取り、それをカプセル型の容器に封じ込め保存している。

　昭和56年。生誕。生まれてから、子どもとはいえあまりにも活発な点や、力の強さなどを親は不思議がっていたが、元気な証拠だと思い、あまり気に留めなかった。（この時点でオーヴァードだったが、本人含め、誰も知る由もなかった）
生後1年。児童用の本を斜めに破り捨てる。流石に異常だと感じた両親が風嵐を病院へと連れて行くことにより、彼の体内では常人の10倍もの化学物質、脳内麻薬が分泌されていることが判明する。このままだと、過剰な脳内麻薬による不眠および栄養不足で死亡すると判明し、3年間病院で生活することとなる。
　病院での検査や特訓により、ある程度自身の能力を操ることが出来るように。ついに、人並みの生活が出来るようになった。
　己の力を操れるようになってからは、心のうちに秘めていた暴力性を遺憾無く発揮。空手、柔道、そしてキックボクシングを始め、そこで学んだ力を喧嘩という形で実践する日々。学業も、アドレナリンなどを十倍で摂取することによって一時的に集中力と記憶定着力を底上げし、好成績を得た。勿論返り討ちになるこどあったが、その度にさらに己を鍛え上げ、必ず復讐した。その強さ、そして執念深さから、周囲の学生からは「ケルベロス」と呼ばれていた。
　中学、そして高校を卒業した後は、大学入学と共に喧嘩師として働き始める。そこで半グレや、指定暴力団組員とコネクションを作り、組織から依頼を受け、指定の人間を殺して金を稼いだ。彼の地道な仕事ぶりが実を結び、彼が三十歳になる頃には、「エンドルフィン」というあだ名で、西日本で最も恐れられた喧嘩師となる。
　超人的な力と耐久力を誇り、裏社会では栄華を極めた。風嵐。しかし二年前、組同士の大抗争に呼ばれ東日本で最も恐れられている殺し屋「過去の遺産（エリナーリグビー）」の異名を持つ男。骨噛トキとの戦闘で敗北。代償として両足を失うこととなった。
以来義足も用いて生活するようになる。また、敗北してからは、欠損という穴を埋めるように、これまで制御出来ていた化学物質の分泌量がコントロールできなくなり、常人の十五倍もの麻薬物質が分泌されるように。このままだと、自身の身体から生まれた麻薬物質によるオーバードーズで死亡する恐れがあった為義足内に注射器を設置。定期的に体内の麻薬物質を摘出するように改造した。
　半年前、ようやくリハビリと義足の調整も終わり、喧嘩師としての活動を再開したがトキに敗北したことで、己の市場価値が落ちたことに気づく。自分への不甲斐なさ。そして、自身の脚を切り落とした恨みから、トキを殺すことを己の生き甲斐とする。