小鳥遊家ひとりっ子。
小鳥遊家は古流武術を伝える道場の一つ。斎藤流と対で、どちらの流派も、糸、針、反物など、一見武具に見えない日用品を武具とする。

5歳にして操針術を中伝まで修めた麒麟児。武器は、母からもらった愛用のヘアピン。だが、その技術も人外には通用しない。賊に襲われた。隠されたまま、恐怖で体が動かなかった。たくさんの門下生が死んだ。父も母も、目の前で死んだ。
仲の良かった斎藤家に引き取られた。みんな優しくて、同世代の跡取り娘、花が特に仲良くしてくれた。「花とリン、あわせてカリンだね」なんて言いながら切磋琢磨し仲のいい様子は、周りからも微笑ましく映っており、気の早い者からは婿養子の声も出ていた。
8歳の誕生日、操糸術を奥伝まで学んだ頃、斎藤家も襲われた。あの賊だった。譲り受けたばかりの、風を斬ると言う糸が目当てだった。
養父さんも養母さんも死んだ。花も死んだ。惨状を見て。あの日の光景が浮かんだ。あの時とは違う。もらったばかりの糸は不思議と身体に馴染む。操ると言うよりは遊ばせるように。次々とまるで意思を持ったかのように賊の体に絡み付き、焼き切るようにその身体を分断する。あたり一面、血の海だ。こんな能力があっても、間に合わないんじゃ仕方ない。血溜まりに浸って、火花を散らして。しばらく身体で遊んでいたら、意識が途切れた。

以来、UGNに保護される。
後になって知る。賊はオーヴァードと呼ばれる人外で、その狙いは、父、小鳥遊一哉の遺した遺物だった。自分も、オーヴァードだった。
もう自分のような不幸な子どもを作らないために、ただひたすらに戦い続ける。そのうち、斎藤流操糸術ではなく、斎藤流遊糸術と呼ぶようになった。
養父さんは、電気を流したりしない。奏でる響きだけで敵を絶つ。養母さんは、風を操ったりしない。指先の調べだけで自在に糸を操る。操糸術だなんて、口が裂けても言えない。

ある任務で、気になる少女に出会う。花に似ていた。よく笑う彼女と違って、よく泣く子だ。ヘアピンをなくしたらしい。戯れに、ほんの気まぐれに。ヘアピンをあげた。形見だけどいいかなって。
昔の僕の愛用の武器。日常と愛情と、強さを象徴してくれるもの。彼女を守ってくれたらいいなって。そう思った。

今後の成長メモ
・コンセ3+リミットリリース2→c5