容姿・経歴・その他メモ

「いつだって間の悪い僕はBad luck(運勢最悪)で、そしてそれゆえにBut luck(不幸中の幸い)なんだ」


『運命』というものがあるならば、それは烏頭目葵を愛してやまず、そして嫌い尽くしているのだろう。

古き支配者に呪われた血筋が、葵の誕生前日に解呪されたり。
風邪をひいて休んだ修学旅行のバスが、邪神教団の生贄と使われたり。
UGN入りするその日にマンハッタンの惨劇が巻き起こったり。
急用で遊びに行けなくなった渋谷が、降神事件の舞台となっていたり。

命運を定める戦いは常に彼のいない場所で巻き起こる。
それは裏世界の中心で世界に抗うUGNへと所属した後も変わらない。
『烏頭目葵のいる場所で事件は起こらない。彼が望むとも、望まざるとも』
ゆえに、混沌と狂気の渦巻くこの世界で、人類の裏切者と生れ落ちてもなお、
彼は不幸中の、幸いだ。

「運命は僕を避けて歩む。UGNとしては致命的かもしれないけれど、日々は平穏そのものだよ」
――『不幸中の幸い(バットラック)』、肩をすくめて。

履歴

その特性ゆえか、葵の主な任務は「新人オーヴァードの監視」となっている。
彼が肩組み共に在れるような相手なら、彼が『目を離さない』相手なら、それは凡庸なるただのオーヴァードなのだ。
けれどもしも、葵が『共にいるには間が悪く』『目を離してしまう』ような相手なら。
運命の女神はその相手をこそ、愛してやまないのだろうと。

D市での三条導への監視任務を終えた葵は、横浜で起きた『ミクヴェの洗礼』事件で覚醒した同い年の少年『穂積命』の監視任務に就くため、横浜支部へと所属を移すこととなった。
しかし、プライメイトオーヴァードである穂積命はあまりにも運命の中心核にいたために、彼が経験してきた事件のほとんど全てを烏頭目葵は目にすることさえできなかった。
同じ学校に通い、同じクラスに所属し、まるで友人のような距離感でありながら、絶対的に彼に関われないままでいた葵が彼の傍観者となれるのは、『穂積命が、運命流転の中心核が消失した』からに他ならない。



「葵は美と神聖に満ちたホリホックであるけれど、それは葵全てを意味するのではないよ。ゴジアオイという品種を知っているかな。葉に油を含み、時に自然発火するとかしないとか。だから"彼女たち"を示してこう言うのさ。――『私は明日、死ぬだろう』ってね」

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