祖先は江戸末期に実業家として台頭、明治時代は華族として栄え、華族廃止後も政治家や芸術家などの様々な方面でエリートを輩出した家系。桃花の父は大物の政治家で一時は次期首相最有力候補と呼ばれるまでに上り詰め、母は世界でも有名なバレエダンサーだった。桃花自身も出身のことは誇りに思う一方で、小さい頃から友人が出来なかったり利己的な大人に近づかれたりで苦労は絶えなかった。

しかし中学の頃に父とその友人であるヒーローの密談を聞いてしまい、二人が数多くの汚職を重ねて上り詰めてきたことを知って桃花の中で世界が一変。問いただそうとする桃花を疎んだ父は部屋に軟禁し、厳重な監視の下で学校などの最低限の外出以外を一切認めなかった。

そんな鬱屈とした生活が続く中、毎日テレビで流れるヒーローの活躍のニュースを聞いているうちに「私にも力があれば…ヒーローとしての組織の中で逃げ続ける本物の悪党を裁ける本物のヒーローがいれば…」と強く願うようになり、ある日、父の友人であり自分の今の環境の元凶の一人でもあるヒーローが活躍し称賛されている映像を見て爆発。戦闘を仕掛け、不正の証拠を晒して彼の地位を落とそうとするも、歴戦のヒーローに勝てるはずもなく敗北。不正はでっちあげとして誰にも聞き入れられなかったどころか、敵に「襲ってきた相手にも寛大な措置を施す英雄」として祀り上げられるチャンスを与えてしまった。

目を覚ました病院で、自身の無力さの絶望と今後の不安感に苛まれていると、神月正義と名乗る男が見舞いに来て言った。
「皆は気づいていないようだったが、君の眼には確かに正義の光があった。ここで腐るな。自分の正義を信じ、叫べ。『私が正義だ！』と」
この一言で桃花の決心は揺るぎの無いものとなった。

後に都知事となった神月にヒーローにならないかとの誘いを断り、組織の外にいるからこそ成し遂げられる自分の正義を貫くために、ヴィジランテとしてヴィランは勿論のこと、自身の名声を隠れ蓑に不正を働くヒーローを裁くために戦い続けている。