本名マリア・アーチボルト
ニューヨークのスラム出身。アジア系の雰囲気を残す長い黒髪の女性。
母は娼婦であり、父親は不明。恐らくは母を買った客の一人であると思われる。
幼少期はスラムで過ごすも、8歳の頃に母は大マフィア「リオーネ・ファミリー」のボスであるヴィットーレに取り入り、その愛人の一人となる。
しかし、連れ子でしかなかったマリアはヴィットーレの子としては認められず、本名を名乗ることも禁じられ、「使用人のメアリー」として家に奉仕することを義務付けられた。

母が愛人となって暫くし、ヴィットーレとの間に息子の「ロレンツォ」を設けるも、出産の際に死亡。
もとから愛情も冷めていたヴィットーレはこれ幸いにとメアリーにロレンツォの養育を丸投げし、屋敷に顔を出すことも殆どなくなった。
それと同時に、実子に護衛を求めていたヴィットーレに命じられる形でFHの施術を受け、オーヴァードとして覚醒する。
予想以上の能力を発揮したメアリーは護衛のみならず組織の「掃除人」としても用いられるようになった。
この頃、まだFHの日本トップであった“プランナー”都築京香と出会っており、「あなたの望む物」として一丁の銃を渡されている。遺産「必中の弓」の力を宿す武器である。

彼女の二つ名が呼ばれるようになったのは、今から数年前にあったリオーネ・ファミリーと進出した中華マフィアとの抗争である。
とみにシカゴ中華街で行われた戦闘は激しく、敵味方双方に多数の死傷者を出した大惨事となった。
そこでメアリーはただ一人生き残り、敵方のボスもろとも多くの華僑たちの返り血を浴びてなお立っていたころから、「“血染めの（ブラッディ）”メアリー」として畏怖の名を込めて呼ばれるようになった。

ロレンツォに対しても使用人として振舞うメアリーだが、そんな彼女を数少ない「家族」として認めれくれた男がいた。
アントニオ・ファーノ。リオーネ・ファミリーの幹部であり、メアリーの素性を知る数少ない人物だ。
彼は「守るための生き方」をメアリーに教え、それに感銘を受けたメアリーは彼を尊敬していた。
血塗れの生き方ながらも、ジャームになることなく、ましてや種違いの弟を疎ましがらずにいたのも、その影響が強いだろう。
しかし、彼は大きな裏切りを犯す。母以外に自分を家族と呼んでくれた唯一の人物との対峙に、メアリーは困惑している。