おぼろげな記憶の中で、手を引いたことを覚えている。
しゃがみこんだその子に手を差し伸べたのは、学校で習った道徳に従ってのことだった。
ちょうど困ってる人を助けたい気分だったのだ。
一緒になって助けてくれる大人を探して、街を歩くうちに夕方になっていた。
マイケルも一度家に帰らなければいけなくなった。

＿＿しかしふと、その子もお腹を空かせているかもと思った。
門限を守らず、怒られるかもしれないが側にいることを選んだ。

すると少しして、二人の目の前に一人の大人が現れた。
その子の親であると語って連れていこうとしたが、妙に思って手を引いて逃げた。
その後、マイケルとその子は警察官に掴まった。
たくさんの話をしたが、そのおしまいに1人の警察官だけはそっとマイケルを称えた。

確かなのはこの体験がマイケルの運命を分けたということだ。
マイケルはやがてエージェントの道を歩んだ。
自らに芽生えた力で誰かを助ける道を求めて。

あの子とはそれ以来会わなかった。
けれど高校生になってから一度通学路で笑顔で走ってるあの子に似た人物を見た。

3話「スクランブル・フーダニット」

◆トレーラー
彼は地下室から出て、空を見上げた。
空には三日月。
先ほど起こったことは、なんだったのか。
ただ楽しく遊んでいただけのはずだった。
けれど突然、友人だと思っていたものに、襲い掛かられた。
傷を抑えながら、とにかく逃げなければと、彼はそこから足早に立ち去った。

逃げているのはだれで、
追いかけているのはだれなのか

逃げる少年、探す少女、そこにある死体、顔の無い役者
嘘つきはだれだ？

キミが見ている現実が、真実だとは限らない。

DX3rd「スクランブル・フーダニット」

ダブルクロス＿＿
それは裏切りを意味する言葉

■ステージ
基本ステージを使用する。
東京都志島（しじま）区を舞台とする。

■シナリオハンドアウト
各PCには以下の設定がつく。
キャラクター作成時にプレイヤーとよく相談すること。
PC①：新型オーヴァード化薬の売人を追跡するUGNエージェント。その過程で、高畑清太郎を保護する。

〇ハンドアウト
PC①　ロイス：高畑 清太郎(たかはた せいたろう)　推奨感情 P/N：庇護/不安
カヴァー/ワークス：指定なし/UGN関連
キミはとある事件の捜査任務を与えられたUGNエージェントだ。最近、キミは任務であるFHセルと戦った。そのセルは新たなオーヴァード化薬品の研究をしており、新型の脱法ドラッグを装って一般人に実験を行っていたのだ。キミと仲間の活躍によって企みは阻止され、セルも壊滅状態となったが、その後の調査で薬品の一部が研究所から持ち出されていることが判明した。持ち出した人物と薬品の行方を追っている最中、キミはその人物と接触したと思しき少年と出会った。少年は何かにひどく怯えている様子だ。一体少年の身に、何が起きたのだろうか？