ブラックドッグ・ノイマンのクロスブリードである。特にブラックドッグの機械操作能力が強く発現しており、右目の発光はそれが要因だとみられている。
とある任務で身体のほとんどを失っており、右目と脳以外は義体であるが、能力によって常人と変わらない動作ができる。
もっとも、機械の身体はほんの少し動かすだけでもかなりの精神力を必要とするため、彼女のレネゲイドは不安定になることが多い。
継ぎ目や機械の露出などが無い完全な人体は再現できなかったため、それら無理のある部分を隠すために好きでもない装飾品を身に着けさせられている。無事だった右目を移植した関係でその部分に目立つ縫合痕ができてしまっているが、「一般的な手術痕として通じるから良いだろう」と言って、メイクなどで隠しはせずそのままにしている。

戦闘方法

義体内に大量のブレードを格納しており、戦闘時はそれらを展開し近接攻撃を行う。
機械の身体による苛烈な攻撃で必ず勝利をもたらすことから、いつしか“勝鬨の戦機”という二つ名がついた。

UGNエージェントの両親のもとに生まれたが、その後両親ともに殉死したために孤児となり、UGNチルドレンとして施設で育てられた。
生誕直後からブラックドッグ、特に機械操作能力への高い適性を示しており、そして成長するにつれその力を確かに自分の物にしていった。

同じ日に生まれ、同じく孤児である“神宝愛都”と幼馴染のような関係であり、バディとして数々の任務を成功させてきた。
華麗、流麗なコンビネーションで必ず勝利をもたらす彼女らの姿は勝利の女神に重ねられ、ギリシャ・ローマ神話からそれぞれ名前をとって“ナイキ”“ヴィクトリア”というコードネームが与えられた。

事件

数年前、ある任務において2人は“ディアボロス”春日恭二と対峙する。圧倒的な力にも屈さずに敗北寸前まで彼を追い詰めたかと思われたが、その油断を衝いた彼の作戦により神楽は愛都と春日のもとから分断されてしまう。
襲い掛かるジャームたちを殲滅し2人のもとへ駆け付けた彼女の目に映ったのは、今まさに爪を振り下ろされようとしている愛都の姿であった。

どちらも無事にこの状況を脱することはできないことを理解した彼女は、迷わずに2人の間に体を投げ出す。そして、驚愕の表情を浮かべる春日の爪が勢いのまま振りぬかれるのと同時に、至近距離から攻撃を喰らわせ彼を消し飛ばした。

手足が千切れ大量に出血していた神楽の生存は絶望視されていたが、ブラックドッグエフェクトにより生命維持装置との親和性が高かったため一命をとりとめる。
そして、ほとんど脳だけが生きている状態の彼女には、全身の機械化という道だけが残された。

両親の顔も声も記憶にない神楽にとって、幼い頃から共に過ごしてきた愛都は唯一の家族である。
加えて自己肯定感の低い彼女は自分ひとりではまともに戦うことなどできないと思っており、愛都に向ける感情はもはや信頼を通り越し執着心に近い。
件の事件についても、愛都を危険に晒してしまったことはともかく、自分が身体を失ったことについては何も感じていない。自分が助けたいと思い、自分で選択して彼の身代わりになったのだから。
しかし、そんな感情をわざわざ愛都に伝えるようなマネはせず、普段は素っ気ない態度である。

シナリオ後は、放心状態のままで自分から動くことはない。義体を動かせるだけの精神力がもはや無くなってしまっている。



――キミのいない勝鬨に、意味なんてない。
こう想う心も、創られたものに過ぎないというの？

キミを抜け殻、この世界にいてならない悪だと断じた彼は、しかし、私が会いたいと思えば、キミに会うことができる、とも言った。



私の声に、キミはまだ答えてくれるのだろうか。

この一件を経て、愛都への思いは大きく増している。
何も伝えられないまま会えなくなってしまわないように、その感情を口に出して伝えるようにもなった。

また、以前より口数や笑顔も増え、自己肯定感も少し上がった。
愛都を自分の手で救い出せたことが自信につながったりもしたのだろう。



――もう一度、2人で勝鬨を掴みに行こう。


今度は、私たちの記憶を、繋がりを、誰にも弄ばせはしない。