神出鬼没のRB。ゼノスに正式に所属しているわけではないが強い協力関係にあり、事実上のメンバーである。
「世界を売った男」、「｜Blemmyae《カオナシ男》」、「テセウスの方舟」など多数の名前で呼ばれる。
本人曰く全て蔑称としてつけられたが、存外気に入っているらしい。

「新時代の備え」を蓄積することが目的だと称し、レネゲイドウィルスに関する情報を集め、レネゲイドウィルスに関わる曰く付きを蒐集している。
ライアンフィランダー博士の発掘隊の一員であったとの噂があるが真偽は不明。
元人間だったのは間違いないらしい。

「君は、自分自身が何者であるか、自分とはなんであるかを知ることができるかい？ 果たして君は本当に『存在している』と言い張れるのかな？」

人為的に作られた遺産(に近しいもの)である天器に強い関心がある。その特性は至高天のマテリアルににているが、あちらは本質的にはレネゲイドとは別個の存在であるのに対し、こちらは現状わかる範囲でオーヴァードの死体を利用して作られたものだ。製法さえわかれば再現することができるかもしれない。でなくとも、この遺産モドキは今後のレネゲイド研究において多大な影響を齎し得るものだ。他の部位も集めて研究したい。

彼は━正確に言えば、本来の、つまり人格の依拠するところの“彼”は━もとはただの人間だった。
彼が今レネゲイドビーイングとして存在している理由は自分自身で行なったとある実験の結果だ。
共生型もとい寄生型のレネゲイドビーイングを自身に移植し、その後レネゲイドビーイングに自身を完全に乗っ取らせる。その際にレネゲイドビーイングにオルクスの因子を利用した反応で自身の自我を植え付ける。そうすることでレネゲイドビーイングに変貌する。という無茶苦茶な実験だった。レネゲイドウィルスの遺伝子に作用する特性、"複製体"の実験結果からレネゲイドウィルスにはある種の"生体情報"のインプット／アウトプットを行う特性があると推測し、そこから因子を利用することで擬似的に自己の意識を複製し、レネゲイドビーイングに移植するという荒技を使った。一応成功したが、このことを本人に聞くと「まあ次はうまくいくかわからないけどね。今思うと無謀だった…が結果オーライさ」とのこと。
その過去を知る人物から浴びせられた罵詈雑言もとい皮肉的なあだ名が今の彼の通り名である「｜世界を売った男《人としての在り様を捨てた男》」である。

彼は人として生きる自分の世界を売り払った。そして際限なく自己同一性を拡張し、そして希釈させながら、無限に死に続け無限に生き続ける怪物に成り果てた。
故に「｜世界を売った男《自分を捨てた人で亡し》」であり、｜自己相似的存在《ありし日の誰かの真似事》━━フラクタル━━なのだ。

現在の“彼”は複数の個体を有しており、「これ」はその1個体に過ぎない。なにせレネゲイドビーンングとは特定条件下におけるレネゲイドウィルス群に過ぎないのだから、肉体など仮初に過ぎない。

「何でこんなことしたのかって？…さぁ？もう今の僕にはわからないからさ。まぁ…人間の身の限界と、レネゲイドビーイングへの憧憬…とかじゃない？詳しくは｜当時の僕《人間だった自分》に聞いてくれよ。…できるものなら」