作成者：碧南 燦（UGN関東支部直属部隊『抑強扶弱』部隊員）
作成日：20XX年XX月XX日
宛先：片倉中隊長殿（UGN関東支部直属部隊）

片倉中隊長殿

先日、夏油 傑隊長、愛清 楓佳隊員、そして和泉 輪舞曲隊員、外部協力の調査員である月輪 神奈子氏と共に遂行いたしました『Shrimp Trap』作戦について、ここに報告いたします。

1. UGN食堂での任務受領

午前中の訓練を終えた私たちは、UGN関東支部内の食堂で昼食をとっておりました。そこで食堂の料理人である和泉 輪舞曲隊員から、食堂のエビが不足しているという情報を受けました。エビの主な供給元である夜戸浦村において、エビの流通に問題が生じているとのことでした。和泉隊員は、UGNにもFHにも属さない野良のオーヴァードやレネゲイドビーイングが暮らす夜戸浦村で何かが起こっているのではないかと懸念を示し、私たち『抑強扶弱』部隊に現地での調査を依頼いたしました。私はエビへの強い食欲から、この依頼に積極的に同意いたしました。

2. 夜戸浦村での初期調査（1日目の昼）

電車とバスを乗り継ぎ、約1時間半かけて夜戸浦村に到着いたしました。あいにくの曇天でしたが、周囲は自然に囲まれたのどかな漁村という印象でした。和泉隊員が助っ人として呼んだ外部協力の調査員である月輪 神奈子氏と合流後、私たちは村の状況を探るため、二手に分かれて情報収集を開始しました。

愛清 楓佳隊員と月輪 神奈子氏が船着き場へ：
漁師との会話でエビの漁獲量自体は減少傾向にあるものの、出荷はされていることが判明しました。しかし、漁師は「無用な詮索は気分が良い物では無い」と私たちを拒絶し、最後に「好奇心は猫をも殺す。『深きもの』には気をつけることだな」という不穏な警告を残して立ち去りました。

夏油 傑隊長と私は村の役場へ：
役場の職員は私たちに対し、終始気怠げな態度で、特に問題は起こっていないと主張しました。しかし、エビの不漁について尋ねると「この不作は、会社としても心苦しいのです。『深きもの』にでも縋りつきたい気分ですよ」と発言。さらに、「問題でも起こせば、『深きもの』に裁きを下されてしまうかもしれませんし、ね」と、漁師と同様に「深きもの」への言及がありました。また、過去には生贄を捧げるという声が村人から上がっていたという衝撃的な情報も得ました。役場職員は、「深きもの』にこれ以上興味があるなら『鬼の岩礁』に向かってみては」と促しました。

3. 夜間の不審な臭いと「深きもの」の真相へ（1日目の夜）

夕食を終え、辺りがすっかり暗くなった頃、昼間にはなかった生臭い、腐敗したような独特の悪臭が村中に広がり始めました。臭いの発生源が「鬼の岩礁」方面であると判断し、私たちは調査に向かいました。

移動中、月輪 神奈子氏は離れた場所で村人2人が会話しているのを聴取しました。彼らは「頭痛が止まらない」と体調不良を訴え、エビが獲れないために「これを作るしか俺たちには…」と何かを「作る」ことに言及し、「村が…光が、消えて…」と村の存続に関わる危機感を語っていました。私たちが近づくと、彼らは逃走しましたが、行き先は「鬼の岩礁」方面でした。

4. 「再来の船」での真実解明（2日目の昼）

逃走した村人を追跡する中で、私たちは「鬼の岩礁」近くの大きな倉庫のような場所へ迷い込みました。そこでは悪臭がより強烈になり、黒い液体の入ったバケツが置かれていました。そこへ現れたのは、船着き場で出会った漁師でした。彼らの襲撃に対し、私たちは応戦し、制圧いたしました。その後の聞き込みで、バケツの中身は村の名産である「くさや」の仕込み液であることが判明。村人たちが恐れていた「光が消える」とは街灯の故障を指し、「作る」とは資金不足を補うためのくさや製造のことであったと分かり、私たちは村人たちに謝罪いたしました。

その後、村の休憩時間に役場受付の女性が持ってきた写真には、「鬼の岩礁」付近に停泊する「再来の船」と呼ばれる黒い船が写っていました。村人はこれを「深きもの」が陸に上がる際に使う船だと語り、不用意に近づくことを禁忌としました。しかし、私たちはその船が、伝承とは異なり通常の輸送船であると推測。私は海底での作業用、あるいは威圧目的での黒い塗装である可能性を指摘し、夏油隊長は海底での作業なら黒い方が目立たないだろうと推測しました。村人たちも私たちの考察に納得し、真実を突き止めるため、私たちに同行することを申し出ました。

5. 船上での交戦と「ヘビーロブスター」の撃破

私たちはゴムボートで船に接近し、船上からの会話で「霧が晴れる前に中身を入れ替える」「エビを捨てて密輸品を運ぶ」という密輸の実態を把握しました。愛清隊員が重力波で推進器を破壊し、私が氷の足場を生成して乗り込むと、船内には大量の冷凍エビが発見されました。

船上では、以前村で会った会社の代表を名乗る男が待ち構えており、彼が「深きもの」の噂を流し、エビの密輸によって不正な利益を得ていたことが判明しました。夏油隊長と月輪神奈子氏が彼の自白を録音し、愛清隊員はエビを冒涜する行為に強い怒りを示しました。

代表は切り札として破壊特化甲殻戦車「ヘビーロブスター」を発進させました。私は夏油隊長の目くらましを受けて突進してきたヘビーロブスターに対し、盾を構えて真っ向から体当たりし、その突進を弾きました。月輪神奈子氏の顕現魔術「引き裂かれし永劫」による巨大な天使の姿での攻撃と、愛清隊員の「グラビティブラスト」の最大出力攻撃が集中砲火を浴びせ、ヘビーロブスターは装甲を大きく凹ませました。夏油隊長も呪霊を放ち、ヘビーロブスターの社員2人を制圧しました。最終的に月輪神奈子氏の渾身の一撃によりヘビーロブスターは真っ二つに破壊され、代表は車内から現れました。

6. 作戦完了後の収穫

ヘビーロブスターが破壊され船が沈み始める中、私たちは愛清隊員の《ディメンションゲート》を使って船を脱出しました。月輪神奈子氏は代表を拘束し、村の漁業組合長である漁師は、UGNに引き渡す前に村で一日預かることを申し出ました。

後日、私たちのもとには夜戸浦村の漁業組合一同からの感謝のメッセージと共に、2000尾もの冷凍エビが届きました。そして、箱の奥には「食べれば美味しいのが伝わると思うから、食わず嫌いせずに食べてみることじゃな」という追記の手紙と、真空パックに入った「くさや」が入っていました。私たちは屋上でバーベキューをすることになり、愛清隊員の腕によりをかけた料理で、エビを堪能しました。月輪神奈子氏、夏油隊長、私も料理の手伝いを行い、賑やかなひとときを過ごしました。

結論

今回の『Shrimp Trap』作戦は、夜戸浦村におけるエビの密輸という犯罪行為を暴き、その裏に隠された「深きもの」の都市伝説が、村の経済的困窮と外部の悪意によって利用されていた事実を明らかにしました。

私たちUGN関東支部直属部隊『抑強扶弱』の連携と、外部協力の調査員である月輪神奈子氏、そしてそれぞれの特異な能力が、複雑な状況下の情報収集から戦闘、そして問題解決に至るまで、極めて効果的に機能したことを確認いたしました。特に、誤解から生じた村人との衝突を経て、最終的には信頼関係を築き、村の抱える問題を解決に導けたことは、UGNエージェントとしての重要な成果であると考えます。

敬具

碧南 燦

作成者：碧南 燦（UGN関東支部直属部隊『抑強扶弱』部隊員）
作成日：20XX年XX月XX日
宛先：片倉中隊長殿（UGN関東支部直属部隊）

片倉中隊長殿

先日、夏油 傑隊長、和泉 輪舞曲隊員と共に遂行いたしました「悪霊の家」調査作戦に関する報告書を提出いたします。

1. 屋敷への到着と初期の調査

私たちUGN関東支部直属部隊『抑強扶弱』の部隊員は、オーヴァード連続失踪事件の捜査のため、通称「悪霊の家」と呼ばれる屋敷に到着いたしました。UGNが過去に遭遇してきた多様な脅威の経験から、隠された真実が人間による犯行である可能性も念頭に置き、私たちは調査を開始しました。

屋敷の敷地内は、真夏であるにもかかわらず蝉の声が一切聞こえず、不自然な静寂に包まれており、ひんやりとした空気が漂っていました。玄関ホールを進むと、地下へと続く扉があり、そのドアノブには血のように赤い宝石が埋め込まれていました。夏油隊長が触れた際、何か不快な感触があったとのことです。和泉隊員が壁抜けを試みましたが、やはり不穏な気配を感じ、扉の奥に何かが潜んでいることを確信しました。これは単なる伝承や噂話とは異なる、より直接的なレネゲイドの干渉を示唆しているようでした。

2. 日記の発見と内容

物置部屋を調査中、古びた食器棚の奥から『ウォルター・コービットの日記』と書かれた三冊の本を発見いたしました。中には「待ち望んだ肉が、この家へと誘われた」など、狂気に満ちた言葉がまるで今書かれたかのように浮かび上がり、オーヴァードを生贄に神を召喚しようとする館の主、ウォルター・コービットの恐ろしい計画が示唆されました。これまでのUGNの活動経験から、早期の情報収集と状況把握が作戦遂行に不可欠であると判断し、私は物置部屋でこの日記の解読作業を行いました。

3. 戦闘遭遇と春日恭二

私が日記の解読に集中している間、夏油隊長と和泉隊員は他の部屋を探索していました。泥落とし部屋では、ウォルター・コービットに操られたミイラ化した死体に襲撃され、夏油隊長が呪霊を用いて排除しました。ダイニングルームではネズミのミイラが、台所では宙に浮く包丁が和泉隊員に襲いかかりましたが、いずれも協力して対処されました。隊員たちは高い戦闘適応能力を示していました。

私が日記の解読を終えた頃、屋敷内では外部との通信が途絶していることが判明しました。その直後、UGNエージェントである春日恭二が赤い短剣を手に現れましたが、その目は虚ろで、短剣に操られている様子でした。夏油隊長と和泉隊員は、春日恭二を無力化し、短剣が彼を操っていた原因であることを突き止めました。春日恭二はその後、どこかへ姿を消してしまいました。

4. 地下室への突入とウォルター・コービットの撃破

日記から、地下への扉の鍵が「赤い宝石のついた鍵」であることが判明し、私たちは主人の寝室で、小さな赤い宝石がはめ込まれた十字架の裏からその鍵を見つけ出しました。鍵には「封印せよ、閉じ込めよ、しかし…」という不吉な文言が刻まれていました。

私たちは鍵を使い、地下へと続く扉を開放しました。その先には、終わりなき螺旋のような階段が広がり、黴と土、腐敗臭が漂う石造りの地下室へと続いていました。奥の壁のシンボルが発光し、漆黒の粘液から、ついに館の主であるウォルター・コービットがおぞましい姿で現れました。彼は私たちを生贄にすると叫び、夏油隊長を洗脳して私たちを攻撃させようとしました。しかし、和泉隊員の呼びかけと、夏油隊長自身の強い意志により、隊長は正気を取り戻し、私たちはウォルター・コービットとの最終決戦に挑みました。

激しい戦闘の末、夏油隊長は春日恭二が持っていた赤い短剣でコービットの心臓部を貫きました。すると、コービットの体は砂のように崩れ去り、完全に機能停止しました。

5. 作戦完了後の状況

ウォルター・コービットの撃破後も、屋敷内では依然として外部との通信が途絶したままでした。私たちは地下室を後にし、屋敷の玄関に向かいました。玄関扉が開くと、外には迎えに来たUGN関東支部直属部隊の中隊長である片倉景郎中隊長の姿がありました。しかし、その瞬間、夏油隊長の脳裏には、片倉中隊長がウォルター・コービットへと変貌するおぞましい記憶がフラッシュバックしたようです。UGNが過去に扱った事案では、人間の悪意が超常的な現象を装うケースも存在しましたが、今回の事件では、人間の狂気が異形の存在を生み出し、あるいは深く影響を及ぼしている可能性が示唆され、UGNが直面する脅威の多様性と複雑性を改めて痛感いたしました。私たちは「悪霊の家」の謎を完全に解明できたのか、未だ多くの疑問を残したまま、作戦は終了いたしました。

6. 結論
今回の『悪霊の家』作戦を通じて、オーヴァード連続失踪事件の背後にウォルター・コービットという狂気的な存在と、彼の神召喚計画があったことが判明しました。異空間由来の力や、人間を操る赤い短剣、そして人間の変容といった要素は、UGNが直面する未知の脅威が単なるレネゲイドや物理的な脅威に留まらないことを示唆しています。

情報収集と連携を密に行動しましたが、今回の事案はUGNエージェントの精神的負荷、および異形の存在への対処における新たな課題を提示しました。引き続き、今回の調査で得られた情報を精査し、ウォルター・コービットの狂気の根源、そして夏油隊長にフラッシュバックした事象の解明に努め、今後の対策に役立てる所存です。

敬具

碧南 燦