大島で生まれ、母親と姉と共に暮らしていた。
オーヴァードやレネゲイドといった『非日常』に遭遇することはなく、穏やかな日常を過ごす。
困ってる人を無視することが出来ないお人好しであり、町人達からも可愛がられていた。

ある日、浜辺に打ち上げられた謎の結晶に触れたことにより、姉と共に無意識に特異なレネゲイドに感染する。

力が実際に発現することは無かったが、7歳のクリスマスイヴに父を含め家族で一夜過ごすため六本木へ赴き、そこで悲劇に見舞われることになる。

東京都品川区天王洲アイルにある一軒家に一人で住んでいる。
高校も普通の学生として通っており、一般人とほぼ変わりない生活を送っている。

以前までは観察，保護は母親である夏奈に一任されていた。
半年ほど前にUGNが奏を正式に『ウロボロス』をシンドロームに持つオーヴァードであるということを認めて以降は、品川支部の監視下に置かれているが、実態としては以前までと同じく夏奈に任されている。

「『ジャーム』って誰が判定しているんですか？」
「『レネゲイド』って何なんだろうか」

どの組織に属することもなく、中心に居ながら外側から物事を見ることが出来ていた奏だからこそ率直に抱くことのできた疑問。
“インフィニティコード”や“プラン”に至る最大の手掛かりにしてこの世界の歪んだ要素である。

「僕は戦い続ける」
レネゲイドを背負い、ジャームとなることで少年の世界を救った『少女』は未だに彼の中で生き続けている。

20XX年12月24日六本木でのレネゲイドウイルスの感染爆発と、それに伴う騒乱。結果的に百数十名が死亡した大事件。
このレネゲイドウイルスは特異なウイルスであり、「自身の中にあるレネゲイドを強制的に呼び起こし、表面化させる」というもの。また「精神を常時蝕み、体表面に金属質の結晶が発現する」という特徴があり、ジャーム化が進行すると、結晶の破壊と共に身体部位が崩壊し、最終的には死に至ってしまうというものであった。
後に、このレネゲイドウイルスは『アポカリプスウイルス』と名付けられることとなる。

奏の姉である真名がこの事件でジャームとなり、大損害を引き起こす最大の要因となってしまうことになった。

人間（オーヴァード）の体内にある物質。
人の精神や絆(ロイス)を模ったものであるとされ、レネゲイドウイルスによって変調をきたした精神に発生が見られる。
どのヴォイドも現代科学が及ばない超常の力を有しており、ヴォイドと使用者によっては単身でFHセルを殲滅する事も可能。

また桜満玄須は「形相を獲得したイデア」であると述べている。イデアとは倫理学において「理想」を意味するギリシア語であり、“個々の恐怖やコンプレックスの反映”がなされるヴォイドの特徴と関連していると思われる。

桜満玄須がアポカリプスウイルスを解析して見つけ出した遺伝子コードの名称。
対象となる人物の遺伝子情報を読み取り、それをヴォイドとして具現化する〈王の能力〉を手に入れるとされている。

ヴォイドゲノムはヴォイドテクノロジーの頂点であり、現在は3個しか培養に成功していない。
現段階では桜満奏を含め2名の〈王の能力〉を持つ人物が発見されている。

奏の姉。
謎の結晶に触れ、最初に『アポカリプスウイルス』に感染した第一感染者
ウイルスに精神を蝕まれた結果、奏に対し異常な愛情を抱くようになる。奏に近づく者や自身の友達たちすらも亡き者にしようとする。クリスマスの日教会で、奏に迫るも、身体を覆う結晶を見た奏から「化け物」と突き放されたことで精神が揺らぎ、ウイルスを暴走させる。歌により周囲を感染させ崩壊させつつ、自らも奏に助けを求めながら崩壊していった。これが『ロスト・クリスマス』となる。

奏と真名の父。
UGNに所属していた優秀な遺伝子学者であり、ヴォイドゲノム研究の第一人者とされる。
大学ではゲノム理論を提唱して学会で一目置かれる存在になり、ほどなく結婚。真名を授かる。しかしアポカリプスウイルスの出現による娘の豹変、妻の死を経験することになり、孤独に身を置きウイルス研究に没頭するようになる。この間に夏奈と再婚するが、『ロスト・クリスマス』にて自分を妬む同僚に射殺される。

マイペースで家族への愛情が深く、友人思いの人物だが、一人で何でも出来て一人で何でも抱え込んでしまう為孤独になってしまう。また他人の内面に疎い一面があり、それが同僚や家族とのすれ違いを生んでしまうことに繋がってしまった。

奏の義母。
UGN本部所属のレネゲイドウイルス研究者。
『ロスト・クリスマス』で大活躍した実力のあるオーヴァードでもあり、同事件では真名にトドメを刺すこととなった。

飛び級で大学に入学するほどの才女で、それゆえに研究に明け暮れる玄須に興味を抱き、彼と結婚するに至った。そして20XX年、彼の実子である真名と奏と共に過ごそうとしたクリスマスに玄須を喪い、そして『ロスト・クリスマス』を経験する。真名と奏に起こったことを知る数少ない人物で、以来「奏を守る」ことを自身に課している。

週に一度程度しか帰宅しない。奏からは「夏奈」と下の名前で呼ばれている。自宅に入るなり服を脱ぎ捨て、下着姿でうろつくなどラフで自堕落な性格。

夫と子供達を誰よりも愛していた家族想いの母であったが、周囲から結婚は単なる研究目的と見られ、実際に自身もそう称していた。
息子である奏とは、互いに愛情表現が不得意であり素直じゃない性格のため、すれ違いが続いている。