黒星粉砕→インビジブルハンド（EAの方）→｜適合体《プレッスド》 (IA)→小さき魔眼→魔王の時間→時間凍結

本当のコンセプトは自分は飛んでるのに他は堕とすだった。
基本ルルブ環境のインビジブルハンドが弱すぎるッピ！
　

　
名家の長子が突如姿を消したのは、彼が僅か6歳の頃だった。
身代金目当ての誘拐かと思われた事象は、しかし一切の音沙汰なく7年の後に失踪宣告という形で悲しい幕を下ろした。

その子が発見されたのはその更に7年後、某FHセル掃討作戦時の研究施設内だった。
幼くして拉致され、14年の間実験台として使われていた男性。
一切の抵抗なくUGNに保護された痩せこけたFHチルドレン。
それが椎名蓮の半生だった。

体中を細胞の一つにいたるまで侵されて開花したその才は静かなる諜報と激しい崩潰。
色素が欠落するほど酷く摩耗した彼は、それでも決してそこに絶望はなかったのだという。
曰く、「俺には時間と光がありましたから」と。

失踪宣言は取り消され、実家との関係も回復したものの現在は一人暮らし。
家を継ぐ必要もなくなって気が楽だとうそぶくその目はしかし、どこか未だ泥のように昏い。
　

　
「貴方は置かれた場所で咲き、その身を折る時に望みを叶える」
「――それだけを覚えておいてください」
　

　
「やあ椎名。起きているかい？」
「眠っているよ」
「起きてるんじゃないか」
「俺のこれは眠っているのと大差ないさ」
「ふーん？ 今度は何が椎名を困らせているのかな？」
「そうだな。明日の天気は晴れだと良いなとかさ」
「はいはい。取りあえず県北の廃屋の件は片付けたよ」
「ああ、事務方から4時間前に聞いたなあ。教授がよくやってくれてるとか」
「あー惜しい。1時間前くらいかな？」
「おや。ボケじじいが出てしまったようだ」
「負等数くんが頑張ったのは合ってるけどね」
「そうか。御調と組ませたのは正解だった」
「そうだねぇ。正直助かり過ぎて驚いてる。いやてっきり自分で面倒見るの面倒くさがってるのかと思ってたよ」
「考えているとも。彼と俺には御調を挟むくらいで丁度良い」
「褒められてるのか判断に困る物言いだ」
「褒めてる褒めてる。どれ、ご褒美に菓子でもあげようか」
「そういうとこまでおじいちゃんしなくて良いんだよ」
「はは。さて、顔出しだけなら俺は散歩に出てくるよ。どうやら今日は寝過ぎたらしい」
「めっずらし。どちらまで？」
「教会。シスターに頼み事ができてしまって」
「へー、椎名がわざわざねぇ……。どれ、いっちょ噛みさせてもらおうかね」
「助かる。車出しておくれ」
「おいおい。それじゃ散歩って言わないだろう」
「これは手厳しい」
「まあ良いよ。聞くところによるとこれから明日の夜まで雨らしい」
「そうか。全く、困り事は尽きないな」