容姿・経歴・その他メモ

生まれた時から私とみんなは違っていたらしい。
幼い私が言葉を発すると、大人たちは右往左往し、いがみ合い、お互いを傷つけあった。
それを見た村民たちは、私を｜妖狐《ばけぎつね》と呼んだ。

ほどなく私は座敷牢へ閉じ込められることになった。
人と接する機会は日に一度、それもこちらと言葉を交わすことはない。

そんな生活を続けているとどうなるか分かるかい？
言葉がね、出なくなるんだよ。
頭では発したい言葉が浮かんでくるのに、口を通そうとするとうまく出てこない。

私が言葉の発し方を忘れかけた、ちょうどその頃だったかな。あの人が来てくれたのは。
私を牢から出し、なにか話しかけてくれた。
私は礼を述べようとしたが、とっさに口を覆った。

彼も、私の言葉で惑わせてしまうのではないか。
また一人になってしまうのではないか。

「大丈夫、君のことは知っているよ。さあ、君の声を聞かせてくれ」

回らない舌で、開かない唇で。
私は、彼に感謝を告げた。



ってところかな。暗い話になってしまったね。
今の私は、オーヴァードが人間と共に歩めるよう尽力している。
それもこれも、あの時私を籠から解き放ってくれたあの人のおかげだね。
ん？あの人が誰かって？
まあ……時が来たら話すよ。うん。

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