容姿・経歴・その他メモ

その少年は、手芸が趣味の母と読書家の父との間に生を受けた。
父の好きな作家からちなんでエンデと名付けられた彼は、その珍しい名前と同じように特異な力を持って生まれ落ちた。
触れたものの傷を治し心の闇を晴らす癒やしの力、まず最初に両親がそれに気付き、近所に住む人々も同じように幼い彼の持つ特別な力に気が付いた。
初めは好奇心でしかなかった視線が依存や信仰を孕んでいくのに、それほど時間はかからなかった。
母の営む手芸教室を母体に、少年を中心としたある種の宗教色を帯びた団体は『癒やしの園』と呼ばれるようになり、少しずつその規模を大きくしていった。

あるものは少年の力を神の祝福だといった。
またあるものは少年を天使の生まれ変わりだといった。
彼らはそれを超常的なものと捉えはしても、その正体を知ろうとはしなかった。
そして、自分の身に何が起きているのかも知ろうとはしなかった。
あるものは身体が不定形に蕩けて崩れた。
あるものは野獣のような咆哮を上げて隣人を噛み殺した。
あるものは全身から炎を吹き出して愛する家族を灰に変えた。
少年の力は気付かぬうちに周囲の人間を蝕み、侵し、突如として日常は崩壊した。
『XXX市一斉覚醒事件』としてUGNに記録されたパンデミック、その原因がたった1人の少年であるということは、UGNには知り得ないことだ。



『コードウェルの子(マスターレイス)』の称号は、世界の変革を望む強い欲望の持ち主へと与えられる。
彼の欲望は『レネゲイドの根治』。
愛する家族が突如として怪物と化し、死と破壊を伝播する悪夢のような光景を、その元凶となったレネゲイドウィルスを―――自分自身を、"マスターレイス11(ラムダ)"エンデ・V・コードウェルは決して認めはしない。

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