・シナリオロイス：想思　（○P:切望／N:諦観）

PC1の父・想思とキミは親友と呼べる存在だった。
10年以上前、キミと想思は2人で“前世持ち”の研究を始めた。
キミたちの努力は実を結び、『記憶のふるい』という「服用し続けることで、前世の記憶を薄れさせる薬」の開発に成功。
9年ほど前に“前世持ち”を発症した PC1はじめ、患者たちは次々に回復していった。
しかしこの薬はあくまで対処療法。「薄れさせただけ」の記憶は、何かのキッカケで思い起こされてしまうことは明白だった。
想思はその原因解明のため、『記憶のふるい』完成以降も各所を奔走していた。

———8年前、7月7日。キミは自身のデスクの上に1枚の書置きを見つける。

「ひとつ、仮説を立てた。この呪いを断ち切る方法ってやつだ。詳細は帰ってから話すよ。いい知らせを待っといて。
家族のこと　PC1のことを　どうか頼む」

今もキミは待ち続けている。仮説が立証されるのを。かの親友の帰還を。その時はまだ来ていない。

【キミの目的は、“前世持ち”で苦しむ患者を救うこと。そして想思の忘れ形見であるPC1を守ることだ。】

【RHOの公開タイミングは任意で決定してよい】

RHOを公開することで、以下の情報を全体に開示することが可能となる。

◇ 『前世持ち』
・起源：不明。「風土病」「流行り病」「記憶狂い」などと呼ばれている。記録では少なくとも数100年前から存在するらしいが、原因に繋がりそうな情報は何も残っていない。
・症状：重病患者は「記憶」が表面化することがある。「記憶」は「本人」の人格を奪い、まるで別人のように振舞う場合がある。
・対処：隔離病棟での長期入院。『記憶のふるい』を継続的に服用してもらい、入念な検査やカウンセリングを行う。
・アフターケア：退院以降も定期健診を行う。場合によっては『記憶のふるい』を再度処方し、経過観察となる場合も。
・備考：町民の混乱を防ぐため、患者には退院時に“前世持ち”に関する一切の情報を秘匿してもらう。

◇ 『記憶のふるい』
ソラリスのエフェクト《錯覚の香り》に近い効果を再現している、非オーヴァード用の薬剤。
患者の脳が“記憶”にアクセスしようとした時、脳をリラックスさせ、それ以上思い出させないようにすることができる。
しかし記憶は薄れさせることはできても、何かの拍子に記憶の蓋が空いてしまうことがあり得る。完全な完治のためには、“前世持ち”の原因を絶つ他ない。
なお、専門的な技術で脳の一部分に作用するように作られているため、《錯覚の香り》を取得しているPCが“前世持ち“患者にエフェクトを使用すれば簡単に治るわけではない。

・出自はヤクザ未満のチンピラと、その浮気相手の商売女の子。
・両親いずれからも疎んじられた彼女は、父親の伝手で海外の犯罪組織「ギルド」へと売られる。
・そこで命じられるまま、人体実験のモルモットとしてオーヴァード覚醒用の薬物を摂取し、覚醒した。

・覚醒した能力から、彼女はギルド要人の｜身代わり《スケープゴート》としての仕事を与えられた。
・命令に従って要人を守り続け、ついにはジャーム化寸前にまでボロボロになった彼女を、ギルドメンバーたちは経ツ折町の山中へと遺棄した。

・17年前の7月7日、そこにたまたま通りかかった相思により保護される。
・心身共に弱り切っていた彼女を、相思は医院の入院患者として受け入れた。
・誕生日はおろか、自分の名前はコードネームのみだったため、相思と出会った7月7日を誕生日とし、名前も付けてもらった。
・好物のタコ焼きは出会ってから初めての誕生日に連れて行ってもらった夏祭りで食べたもの。思い出の味。
・また、生まれたばかりのPC1のことを嬉しそうに話す相思の姿や、話の中で日に日に育っていくPC1が彼女にとっては希望そのものに思えた。

・傷が癒え、中学校を卒業してからは相思の重荷になってはいけないと、バイトを複数掛け持ち、自活しながら猛勉強を重ね看護学校に入学。
・トレードマークのナース帽は、この入学祝として相思からプレゼントされたもの。
・相思が自分を認めてくれた証であり、自分の身分を自覚するためのものとして、今でも大事にしている。

・看護学校に入学したころ、医院の仕事を手伝い始めた彼女に相思は"前世持ち"に関する真実を告げる。
・物に手を触れずに動かす能力に秀でていた彼女は、その話を聞いて治療薬の研究までも手伝うことを決意。

・しかし、研究の最中でPC1が"前世持ち"を発症してしまう。
・この出来事は、PC1を希望と思っていた彼女に大きなショックを与え、寝る間を惜しんで研究に没頭するようになる。
・だが、その1年後に相思が失踪。残っていた希望の片割れすら奪われた彼女は、自死を試みるほどに追い詰められていく。

・ついに自分が捨てられていたあの山中で死を選ぼうとしていた時、生家の『みたまや』の前を懸命に掃除しているPC1を見かける。
・その姿に、相思の帰る場所を護る、という大事なやるべきことを思い出させてもらえた。
・以来、医院という相思の帰る場所とPC1という彼の家族を護ること、そして、"前世持ち"に苦しむ町の人々が少しでも良くなるように努力することが自分の役目だと思っている。