「SCP財団」といえば、「自然法則に反した異常な物品・存在・現象・場所など（異常存在、アノマリー、SCPオブジェクト、SCP、SCiP）」を「確保(Secure)、収容(Contain)、保護(Protect)」しているという架空の組織であり、また、その組織を中心とした創作を行うコミュニティの名称でもある。
　いくつもの超自然的オブジェクトが（あくまで空想上の存在(フィクション)として）存在するが、その内、恐らく日本で最も有名であろう「SCP-040-JP」通称「ねこです」の設定が、レネゲイドウイルスによって例の“ねこ”の姿で実体を得たものがスズである。つまり“ねこ”はいます。
　とある村のとある空き家の敷地内にある枯れ井戸の底に出現し、そこに暮らす野良猫達と鉢合わせる。「ねこです。よろしくおねがいします」と自己紹介したところ、野良猫達は強いショックを受けて井戸から一斉に逃げ出した。枯れ井戸から次々に飛び出しては暴れる野良猫の群れに、不審に思った村人がその井戸の底を覗き込んだ――それが始まりだった。
　逃げて行く野良猫達や井戸の底を覗きにやって来る人間達により外界の存在を知ったその“ねこ”の意志にやがて好奇心が発生し、“ねこ”は外界の生き物について知りたくなって井戸から這い上がる。しかしそこでは“ねこ”の存在により一種の恐慌状態に陥った村人達が阿鼻叫喚の様相を呈していた。“ねこ”は疑問に思う。アレは何なのか、同じ生き物なのか、対話は可能なのか――話をしたくて「ねこです。よろしくおねがいします」と自己紹介をしても、村人はただ“ねこ”がいるとしか言わないので、“ねこ”の好奇心は何一つ満たされなかった。たしかにそこに“ねこ”はいます。
　その内、「“ねこ”に呪われた村」の噂を聞きつけたUGNによって発見され、事態の収束と共にその“ねこ”は保護された。“ねこ”はいました。無意識の内にばら撒かれていた力を抑制され、“ねこ”が望む対話と共にRC訓練が施されてからは、N市支部長の飼い猫として「スズ」と名付けられ平穏に暮らしている。それと見た目もマトモなイエネコになるように頑張った。よろしくおねがいします。

　強力なオルクスシンドロームの力によるものである。スズを認識した生命体は、スズが展開する領域の影響によって「ねこ」と「暗闇」に対する認識を強く混乱させられ、大元である「ねこです」がもたらすミーム汚染と似た事象が発生する。覚醒当初はこれをコントロールできず、意志とは無関係に周囲の生き物を混乱させていた。それは“ねこ”がいるからです。