UGNチルドレン1期生で、玉野椿と同期。過去に実験体として重大な暴走を起こしたことがあるが、現在ではその欠片は見る影もない。通っていたアカデミアにおいては特に目立たない一般的なCランクオーヴァードと評価され、ノオーヴァードとして大して強くも有能でもない存在であった。話せば普通の優しい青年、何をさせても平均程度…というどこにでもいるありきたりなオーヴァード、それが彼の生き様である。

そんな冴えない菊池正はある人物と出会い、今までのTypical（典型的）な生き方から大きく逸脱した異常者になる。
諫早汐見、数多くの実験に巻き込まれ地獄という地獄を潜り抜けてきた女傑である。彼女はその残酷な経歴故か、鋼鉄の仮面を被っているかの如く表情を表に出さない。どんな時も決して折れることなく仲間を導く、自他に厳しい女性であったのだが…彼はたまたま、彼女と話している時にその優しい笑顔を見てしまった。
そして正は、自身の中にある加虐精神に気づいてしまった。
「この人は絶望に打ちひしがれたとき…どういった顔をするのだろう？」

この日から正は汐見にワンコの如く付きまとうようになった。その行動は、曰く"彼女の救世主や恋人のような存在になり死ぬか裏切るかすれば深い絶望の表情を引き出せるのではないか…"という思考に基づくものだった。
幸か不幸か、彼のそのドス黒く爛れた感情に彼女は気づいていない。

正が「誅戮者」を追っている理由は、彼の人生における大切な人を二度奪われているから。一回目は引き取ってくれた義両親を、そして二回目は育て上げてくれた恩師を。いずれも人として生きる上で重要なことを多く学んだ、彼にとって最愛の人物である。後日その事件における手引きをしていた人物こそが、「誅殺者」であった。
彼はかつてチルドレンを引退する機会があった。小学校時代、UGNエージェントの夫婦が彼を引き取るという話になり、彼は普通の子供としての生活を送ることができた。しかし、任務における義両親の死により奪われた。
再びチルドレンとなった彼のことを気にかけ、厳しくも優しく面倒を見てくれた教官がいた。戦闘のいろはだけでなく一人の大人として相談に乗ってくれた義に厚い人物。彼もまた、正たちチルドレンを救うべく敵との激闘の末に死亡した。
現在、彼にはその三人目に相当する大切な人がいる。そう…諫早汐見である。

・彼の暴走メカニズムは、自身が暴走を抑え込もうとしている場合は、その本当の力を引き出すことはできない。自身の本能、自身の欲望に従った暴走においてのみ、強大な力が彼に宿る。汐見と出会う前の彼は暴走してはいけないという言葉が呪いのようにその暴走を縛ってくれていた。（っていう設定）
・汐見と出会ってから、周囲の印象は"ごく普通の青年"から"好印象で活発な青年"に変わった。それに伴って裏の顔は自身の汐見に対する欲望を暴走という形で発散する、狂気的な戦い方へと変わっていった。それにより異常なほどに強くなりリエゾンロードの調査にも割り当てられる程度には出世している。