履歴
【経歴】
2004年1月8日深夜、如月葉純はいつもの帰宅に使う電車の様子がおかしいことに気が付いた。
音が聞こえない。電車のガタゴトという車輪の音以外に、人のあるべき音がしない。
彼女が違和感に気づき、携帯で流し見ていたネット掲示板から顔を上げると、そこは無人の車内であった。
不審に思う間もなく、電車はブレーキをかけ見覚えのない駅に停車する。駅名は「きさらぎ」。よく思い出してみても、やはり聞き覚えはなかった。
窓から見渡す限りの風景は、宵闇に包まれた田園が広がるだけだ。
彼女は意を決して駅に降り、そこでアナウンスもなく扉が閉まる。動き出す列車に焦った彼女が頼ったのは、先ほどから開きっぱなしで握りしめていた携帯電話だった。
無人の駅、暗闇の線路、掲示板の集合知をもって知らないという名前のトンネル。なぜか唯一繋がる掲示板を信じ、紆余曲折の果てに、彼女は日常へ還った。
しかし、いつのまにか10年もの時が流れていた日常へ帰ることはかなわず、調査に訪れたUGNに保護されることになる。
補遺1:彼女が報告する体験談にはいくつかのバリエーションが存在する。ネット上では、如月葉純が帰還したという書き込みも本人が行ったのか、信憑性が疑われるところである。(更新回数1|最終更新2019/4/11)
補遺2:そもそもオーヴァードに関連する可能性のある情報をネット掲示板に書き込む行為は秘密保持規約違反である。監査部は至急確認されたし。(更新回数24|最終更新2024/12/7)
【経歴】
自分がトラックに撥ねられたのだと認識したのは、見覚えのないマンションの一室で目を覚ました後であった。
出血も痛みもない身体だが、直前に見たヘッドライトの眩しさと視界が反転する衝撃はあまりにも現実味があり、今自分がいる見覚えのない部屋とどちらが夢であるか判断に困る。
ただ、その部屋には黒い玉があった。
転がることもなく中央に佇む巨大な黒球。それが彼を醒めない闘いの日々へと突き落とした。
よくわからないものと戦わされ、よくわからないうちに増えた仲間もその日のうちに消える。
その過程で得られた「信じられる人」は、彼の目の前で砂となって消えた。
気が付けば、彼は生き残っていた。
解放されたときに消去されるはずの記憶は残っている。大切な人の最後の表情が鮮明に焼き付いて逃れることを許さない。
その表情は■■■■■。
既に法的には死亡扱いのため帰る家はなかったが、非日常の中で身につけた支援能力を買われ、現在はUGNに身を寄せている。
補遺3:如月葉純は瞬間記憶能力者であり、いわゆる「視たものを忘れられない人」である。なお、一部文字化けが見られるほか、経歴欄が複数存在するという誤植があるため、人事部は事実確認を取り次第編集されたい。(更新回数41|最終更新2024/12/7)
【要調査項目】
インターネットによって誰もが語り手となった現代、語り継がれる怪異は都市伝説へ形を変えた。どこでもネットにつながり、街灯が増殖し、航空写真で見られない場所は殆どない。文化人類学・民俗学者の小松和彦氏に曰く、自身の知り得ない生活圏の外側は暗闇であり、異界である。そして、人々はその暗闇を恐れながらも求めずにはいられない。現代でおおよそ駆逐されたはずの暗闇を、人々がインターネットの向こう側に見出そうとすることに何らの不思議はない。その虚実に関わらず、話が消えずに広がるという事実がそれを示している。
そうした途切れることのない興味と熱意の連鎖によって、インターネット上を伝播する民間伝承をオリジンとするレネゲイド・ビーイングが発生する可能性は否定できない。如月葉純が実際に巻き込まれたという都市伝説的事象は、そのようにして生じたのかもしれず、今後も一般人を巻き込む恐れがある。体験談を手掛かりの一つとし、引き続き調査を行う。
補遺4:如月葉純の性別、誕生日、血液型が記録に残っていない。人事部は明日確認するように。(更新回数26|最終更新2024/12/7)
GM・同卓者向けメモ
基本的には中性的にロールプレイ(RP)しますが、女性として扱っても男性として扱っても問題ありません。迷った場合は男性でお願いします。
インターネット上を伝播する現代的な民間伝承をオリジンとするレネゲイド・ビーイング(RB)であり、生存者としての記憶を詳細かつ鮮明に所持しています。本人にRBである自覚はありません。会えない家族を人並みに愛している/失った誰かを想っている、ごく普通の人間性です。保護しているユニバーサル・ガーディアンズ・ネットワーク(UGN)は正体を認識していてもいいですし、気づいていなくても構いません。同行者のプレイヤーキャラクターも同様です。履歴では気づいていない雰囲気ですが、それでも勘のいい人は気づく、という強者プレイの土台になることもまたRPの醍醐味です。また、シナリオ上、彼/彼女が自身の正体に気づくことになっても大丈夫です。たぶん固定ロイスが二つほどタイタス化しますが仕様です。誰もが無邪気に非日常を空想するとき、そこには被害者がいるというだけの話です。
この世界の何処かには家族や友人が存在するかもしれませんし、人間の如月葉純が存在するかもしれません。あるいは家族や友人だけが存在するかも。登場はご随意にどうぞ。設定等もご自由にされてください。日本人家庭とは記載しましたが、そのあたりも可変です。特にこだわりが無ければリンケージマインド記載のパーソナリティーに倣います。
都築京香との関係性は彼/彼女にとって完全に忘却の彼方。作者の人そこまで考えてないと思うよ。ただ、強力なRBであり扇動者でもある都築京香に出会ってしまえば影響を受けずにはいられないかと思いロイス設定しました。過去に出会っていても良いですし、出会ったら何か吹き込まれるなど、好きなように調理してください。作者のおすすめは記憶の中の南条春子の容姿を都築京香にしてしまい、その上で都築京香から正体に言及されることですが特に深い意味はありません。
作成上のコンセプト:純真無垢