彼方への呼び声

解説

契約者以外には見えない、小さな小刀。契約者に、宙の向こうから届く声を聞く力を与える。彼方から聞こえるその声は、無垢にあなたに尋ねるだろう。「あなたが望む星は何？」
取得時に、あなたは自分のシンドロームに属する、あなたが取得している「タイミング：メジャーアクション」のエフェクトからひとつ選択する。この武器は選択したエフェクトを組み合わせた攻撃でのみ使用できる。また、あなたの侵蝕値が100%を超えている場合、この武器の攻撃力を+5する。あなたの侵蝕値が120%を超えている場合、さらにこの武器の攻撃力を+5する（つまり合計+10）。ただし、この効果で選択したエフェクトの侵蝕値を+4する。
また、あなたは"レガリアコア・～"を取得することができ、その際に適切な経験点を支払うことができる。適切な経験点を支払わずに取得した"レガリアコア・"がひとつ以上ある場合、あなたの侵蝕率基本値は+300され、バックトラックのダイスの数は0個となる。このアイテムによるバックトラックのダイスの数の修正は、あらゆる修正に優先する。

「……」うずくまって動いてくれない。初めての任務だし仕方ない。
今UGNは人手不足だ。日本でUGNが協力関係になった事が皮切りになって、各国で協力関係が構築されるようになったのはいいけれど、動ける事が多くなった分、人も必要になる。その深刻さは、テロの対応へ子供だって駆り出されるほどだ。
「ほら、ついてきて！」手を引っ張って連れていく。ここに居たらすぐに見つかる。隠れなくては。
「ね！言ったでしょ？ここなら敵も来れないから安全だって」私の領域が適応できる所だ。他の奴らが見つけることはできない。
「……ごめんなさい」緊張が切れたのか、溢れるほどの流して謝る。
「また……私が悪いんだ。お兄ちゃんが言ってたの。「お前のせいで、｜母親《コイツ》は死ぬんだ」って。今だって、私がこんなことしなきゃ……」
「じゃあなんで私は死んでないの？」
「それは……」困惑した様子で言いよどむ。
「私は、ブリジットがいてくれた方がいいな。あなたの見えなくなる力は便利だし、目もいいし。何より、貴方がいた方が力も出るの」
「でも……」戦えない事を負い目に感じたのか、少し視線をH.O.P.E.へ向けて後、すぐにまた下を向く。
「じゃあ、約束！私がこの戦いを終わらせて、必ず平和にする。そうしたら、また一緒にプリンを食べよ？」
「……うん！」空元気を出して返事してくれる。
「約束ね！指切りげんまんしよ！」
ブリジットも震えた小指を、支えるように小指で包む。｜私達《tool》が約束をするなんて不思議だけれども、この約束があるかぎり、｜道具《we》が人であれる気がする……

「お、お前が、"｜何か《something》"、なのか？」怯えたエージェントが、私に向かって質問してきた。
「みんな私をそう呼ぶのね。私達を｜道具《tool》みたいに」
「そうだろ！お前みたいな奴が人なわけあるか！俺の仲間をこんなにしやがって……」周囲には、｜衰弱死した《happy》エージェント達が横たわっている。
「可哀そうに。貴方は"夢"に強かったから、皆がどれだけ幸せなのか分からないのね」多分、そうだ。彼の意志が強かったばっかりに、"happy"になれないのだ。
「ふざけるな！」彼が炎を使って焼き払おうとする。なんてかわいそうな人なんだろう。そんなことしても無駄なのに。
「大丈夫。貴方も夢に入れるから」彼の頭に触れてあげる。糸が切れた操り人形のように、彼が倒れる。
「おっと」倒れた事実を書き換えて、横に眠っていたことにしてあげよう。後は放っておけば、彼もみんなと一緒に"happy"になれる。
大丈夫だよ、ブリジット。絶対探し出して見せるから。一緒に平和にしようね。
私は｜ここ《アラスカ》から出れないけれど、絶対に見つけてあげるから。