「私だって恋がしたいんです！真実の愛を信じてみたいんです！…滑稽ですか？」

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出自や経験、それに由来する特殊な精神性から、自身は神話生物の一体に過ぎないという認識でいる。それでいて人間的な価値観も有しているため「いつか海に還るとき、ひとりぼっちになりたくない」という欲望を秘めており、それを叶えるために恋愛に執着している。

海に還れば数多くの同胞が迎えてくれるだろうが、それは正真正銘の怪物であり、自分のような人間もどきではない。そんな世界で自分は生きていけないだろうし、深海で眠る神に身を奉じることもできないだろう。だからこそ、自分のための理解者を一人だけでいいから欲しいのだ。そんな人間めいた、身勝手でどうしようもない我儘を叶えるためだけに生きている。

もっとも、パートナーを得られたとて、海に引き入れるにはそのパートナーを怪物に変える必要があるし、まっとうな人間はパートナーを怪物にしてまで海に引きずり込みたくはないだろう。彼女はそのことから目をそらし続けている。