生まれたときに俺は死んだ。
いや、死んだはずだった。
死産にも関わらずその時にオーヴァードとして覚醒し、この世に生命として生まれた。ただ、大事なものが欠けていた。皆はそれを「心」と呼ぶらしい。
それが分かったのは泣きもしないし笑いもしない赤ん坊なのを不思議がって調べて貰ったときだった。それでも資産家の親は世の中でいう愛情をもって接していたが俺には全く理解できなかった。やがて、大きくなっても変わらず家庭不和の元になりUGN支部に厄介払いされる形になる。
UGNに世話になり始めたのは生まれてすぐから力の使い方や暴走しないように監視、教育等をされていた。家庭から厄介払いされたあとは支部から学校へ行っている。寄付金は家からそこそこに入ってるらしい。仕事も受けるし命令はこなすので割と便利に使われているがなにも思ってない。
学校での授業態度も良好。話しかければほどほどに返すし支障もない。感情見えないので一部では不気味がられている。家庭の事情（実際はUGN）での早退、欠席はあるが予習復習の課題を少し増やす程度で収まっている。
ある時UGNエージェントが「感情が無いなんてつまらなくないのか？」と問いかけたことがあった。そいつは泣いたり笑ったり怒ったりと騒がしい奴で有名だった。「世界はいろんなものがあるんだぞ？楽しい方がいいじゃないか！いつか感情持てればいいな！」そんなことをそいつは言っていた。
ある時そいつが言った。「UGNは裏でヤバイことをやっているらしい……俺はそんな事裏でこそこそやっているとこに居たくない！FHにもいい奴がいるらしいから俺はそっちへいく！……これは黙っててくれよ？」
俺はUGNからFHへ行くのはただのわがままに見えた。だから準備をして裏切り者を殺した。そいつは「黙っててくれよて言ったのに、裏切り者！」そう罵りながら逃げていたが、俺は歩みを止めず氷のナイフを投げ弱らせ最後には追い付いて首を切った。
「くっそ、最期もお前のその顔かよ……つまんない顔だ……な……」細い声でそういうとそいつは事切れた
あいつが言っていた「つまらない」日常と任務を淡々とこなし続ける非日常を過ごしていく。一体その先に何があるのだろうか。

変わらず命令に従い。動いている。たまに湧き上がる何かに気づかない。