ある家庭があった。どうにも先行きが上手く行かず、男は人生に幕を閉じることを決めた、どこにでもある一般家庭。
妻も同意した。幼い息子と娘は不憫だが、遺すよりは良いだろう。
車で出かけ、少し高いホテルに泊まり。翌朝、車に乗って峠から来世へと飛び立った。
──筈、だった。
幼い由芳（当時は違う名前だったのだろう）。まだ物心もつかぬ彼女は、本能で死を忌避し覚醒。
…辛うじて”生き延びてしまった”。
そうして死した両親と兄に無意識でエフェクトを使い、蘇生する。
（恐らく高レベルのヨモツヘグリだったのだろうと推測される）
しかし。家族は耐えきれず、その観光地一帯を3体のジャームが地獄と変えた。
怯え逃げ惑う人々、中心には泣き叫ぶ幼子。
彼女を助けようと近寄った親切な人間も”家族”に殺され、また彼女に蘇生されジャームとなり、さらなる地獄を生む。

”リヴァイアサン”霧谷 雄吾の率いるUGNの部隊がその観光地一帯を封鎖、都合5体のジャームを殲滅。
ようやくこの地獄を作り上げた少女を保護する。……恐るべきことに、彼女はジャームではなかった。
処分や隔離が妥当であった。しかし霧谷の意向で保護して訓練させた所、彼女は頭角を現し若くしてエージェントとなった。
力のコントロールを覚えた彼女のコードネームは”アンプリファイア”。
精神に干渉し、レネゲイドの活性を増進させ、他者の力をより強めるエージェントだ。

霜中 大地 （しもなか だいち）享年38歳
パチンカス。
元来の怠けぐせのある性格のため、何度も仕事をクビになっている。
第二子の生まれたことで一念発起。
俺パチプロになるから、いやパチンコはやっぱダメだ。馬で行く。
いややっぱ時代はFXだ。
などと宣い借金を重ね、挙げ句違法賭博に手を出し首が回らなくなった。
最後にはヤクザの取り立てから逃げるため、一家心中を企て死ぬ。
ジャームとなった際の衝動は妄想、覚醒は死。
モルフェウスとなって物も人も何もかも黄金に変えた。
ただし周囲を黄金で飾りつつ、最後まで家族の側を離れようとはしなかった。

霜中 美空 （しもなか そら） 享年29歳
夫のために借金を重ね、風俗などのヤクザに紹介された仕事をこなし、
更にDVを受けるが、それでも尚クズの夫を見捨てられなかった。
貯まるストレスで酒に逃げ、薬に逃げ、子供に当たり、自分に当たる。
ジャームとなった際の衝動は加虐、覚醒は死。
エグザイル/キュマイラとなって、薬の幻覚を具現化したような巨大な異形になり周囲を人を破壊した。
ただし子供たちは甚振りながらもけして致命傷は負わせず、最後まで夫の側を離れようとはしなかった。

霜中 天星 （しもなか てんせい）享年7歳
妹が生まれてきてから人生の狂った少年。
最初は妹を可愛がっていた。
妹が生まれて約3年。暮らしは一変し、幼くして精神を壊す。
しかし久々の家族旅行とあって喜んでついてきた。
その結果一家心中で車ごと崖下に落下し死亡する。
ジャームとなった際の衝動は憎悪、覚醒は死。
（ワンチャンエネミーになりそうな気もするから都合のいい好きなシンドロームを決めてね）になり、衝動のまま癇癪を起こす様に全てを壊し、殺戮した。
ただし憎みながらも最後まで妹のそばを離れようとはしなかった。


霜中 由佳 （しもなか ゆか）当時2歳
何も知らない由芳ちゃん2歳。
（引き取られる際に香りに関連する漢字をつけてもらい1文字改名した）
一家心中により瀕死の重傷を負うが、オーヴァードとして覚醒する。ご存知ソラリスピュア
ヨモツヘグリL5のうち3回使用してほとんど本能で家族を復活、その結果ジャーム化。
（そのため無意識のトラウマから復活スキルは封印していたが前話でリコリスに変異させられた。おのれ）
高校を卒業する際に霧谷からおおよそ調査で分かる範囲の家族の話を聞く。
（GMが都合のいいように加減してね）
霧谷から話を聞いて、霜中は「ジャームになるなんて根性が足りない」とその時発言したらしい。
しかし残りのヨモツ2発を一般人に使用し、更にジャームを2体増やしたと聞いて流石に例の顔で黙った。