魔女として保有する因子は「魔弾の射手」または「銀の弾丸」。
欧州に伝わる絶対必中の悪魔の弾を授かった射手、或いは吸血鬼や狼男を葬る怪物殺しの弾。
正確にはそのどちらかというわけでは無く、双方の特性が複合した「未知の存在への対抗手段」「特効薬や解決策など、困難への決め手」という概念としての「魔弾」が因子として継承されている。
因子の持つ特性は主に戦闘面で発現しており、絶対必中とまではいかずとも射撃能力が大幅に強化されている。
また、自身の砕いた骨または血を込めた弾丸を所持しており、撃ち込んだオーヴァードの力を一時的に削ぐことが可能。

「魔弾」の因子は一族に代々継承されてきたものであり、ヘルトリング家の対神秘戦闘装備の最高傑作。
共生型人造レネゲイドビーイング「ザミエル」を自身の内に住まわせ制御することで、生来の才能や因子に関係なくオーヴァードであれば「魔弾の射手」の因子を持つ魔女として力を発揮できるようになる、言わば「外付けの因子」。
原典の「魔弾の射手」「銀の弾丸」ほどの命中力・殺傷能力の強化は行われないが、これは意図的に因子の出力を落とすことで、「魔弾の射手」の宿命である「7発の制限」「最後の1発は悪魔が望む場所に命中する」というデメリットを無視するためのもの。

ドイツのザクセン＝アンハルト州ハルツ郡に存在する街、ヴェルニゲローデで代々土産物店を営んでいる一族。
一年に一度、「ヴァルプルギスの夜」で観光客が一気に増える日は家族総出で店番をする。

しかし、土産物店は表向きの顔。
裏の顔は、中世の魔女狩りを免れた魔女の血を継ぎ、今なおその力を振るう現代の魔女一族。
悪魔憑きやブードゥーの呪法、カルト宗教の活動など、数多くの「神秘」に関するトラブルを解決することを生業にしている。
対神秘のエキスパートともいえる一族であり、「神秘狩り(レーツェルヤークト)」として一部に名前の知られた家。

レネゲイド解放以前からオーヴァード及び遺産の存在を把握し、その回収や破壊に携わってきた。
オーヴァードの力やその対応法について何代にもわたる研究を重ねており、対神秘装備と呼ばれる物品や技術が継承されている。
当代の「神秘狩り」であるハーラルトに継承されているものは以下の通り。

◇因子『魔弾の射手』

共生型の人造レネゲイドビーイングを用いた因子。
この因子により、代々同じ「魔女」としての能力を継承している。

◇鎮静の弾丸　　　　

聖別された金属、継承者の血と骨、悪魔祓いの護符を材料にした弾丸。
撃ち込むことで一時的にオーヴァードや神秘存在の力を削ぐことが可能。

◇焼却の弾丸　　　　

オーヴァードや神秘存在に対して高い破壊力を発揮する弾丸。
特殊な香木を聖なる文言が書かれた紙で包んで焼き、木炭にしたものを火薬に用いている。

◇目録　　　　　　　

ヘルトリング家が確認した遺産の情報が記された本。
遺産の分類、代償、能力など様々な情報を看破するのに役立つ。

現在のヘルトリング家はUGNと連携し、遺産を持つオーヴァードの引き起こす事件を中心に協力している。
また、教会や精神科医とも協力関係にあり、未だに発生する悪魔憑きや呪術による問題に対応を続けている。
しかし近年では、単なる精神的な問題が数多くのスピリチュアル系サービスによって悪化した例が増加。
さらに、カルト教団による過激な活動から生じたトラブルを持ち込まれることもあり、現代ならではの問題に苦慮している。

◇ハーラルト・ヘルトリング　　

長男。ヘルトリング家の使命である「神秘狩り」の当代の継承者。
口数が少なく、大人しい性格。

◇ライナルト・ヘルトリング　　

次男。手先が器用で、ハーラルトの装備の修繕・開発を行っている。
兄思いの、天真爛漫で明るい少年。

◇アーダルベルト・ヘルトリング

父。土産物店の店主で、平時の一家の稼ぎ頭。
豪快な性格で、細かいことを気にしない。

◇カロリーネ・ヘルトリング　　

母。夫とともに土産物店を切り盛りしている。
おっとりとした女性で、かなりの天然。

◇トラウゴット・ヘルトリング　

祖父。先代の「神秘狩り」であり、ハーラルトに後を任せ引退した。
厳格で寡黙な性格だが、実は誰よりも孫2人のことを心配している。

◇ルイーゼ・ヘルトリング　　　

祖母。ヘルトリング家のオーヴァード研究に大きく貢献した才女。
大抵のことには動じない、肝の据わった性格。

生まれついて「神秘狩り」を継ぐことが定められていたが、人造因子である「魔弾」を継承する前は別の因子を持っていた。
本来のハーラルトが持つ因子は「玉兎」。
月で臼と杵を用い、薬草を搗いて薬を作る白いウサギ。
その薬には飲めば仙になる、或いは不老不死になったり空を飛んだりと言った効能が伝えられている。
自他の生命力を超人の域まで強化し、同時に治癒を齎す因子。
現在は「魔弾」の因子を継承したため、この因子による特性は発揮されていない。