容姿・経歴・その他メモ

　とある世界線の春日恭二。
　3年前までは基本ステージと同じように敗北を重ね、撤退を余儀なくされ、幾度となくUGN達に倒されエリート街道から外れていた。
　このままではいけない、と考えた彼はヴァイスブランド…死者の知識を自身の記憶に焼き付ける技術に目をつけた。自分の知識で及ばないなら他者の知識を、自分の戦い方で負けるなら他者の戦い方を使おうとしたのだ。
　ただヴァイスブランドを受けた者はそう少なくも無い。普通に使っては遠く及ばない。そう考えた彼は…“多人数の知識を焼き付ける”という選択肢を選んだ。
　死んだFHエージェント。殺したUGNエージェント。ジャーム化し死んだオーヴァード。勝ったのなら殺した相手の、負けたのなら死んだ部下の。マスターエージェントも本部エージェントも、立場に関係なく自身に有用な知識を持つ死者の知識を幾度となく己の記憶に焼き付けた。
　並のオーヴァードならとっくに精神が崩壊するか死亡、あるいはジャーム化している物だったが、その持ち前のタフさと意志により自我を保ったままその常軌を逸した技術と行為に耐えることが出来た。
　それだけで無く、魔狼の心臓の埋め込みや殺戮器官の移植、より戦闘に適した肉体への改造を行うようになる。手段を選べないほどに追い詰められていたとも言えよう。
　結果、その後の任務では徐々に勝利を収め、良い結果を残す様になっていく。そしてその不屈の精神と、勝利への強い欲望、過去の失敗を挽回する程の成果を認められ“マスターディアボロ”…マスターエージェントへの昇格を果たす。
　だが、無謀とも言える記憶処置と肉体改造による副作用が出始めている。
　殺戮器官の移植により、外部から引き起こされる衝動に抗えない。
　幾度と無く生き返り戦い続け、肉体を戦闘向けに改造した為に、戦闘以外での五感や痛覚が鈍っている。
　数え切れないほどのオーヴァードの技や知識と共に記憶と悪意が焼き付けられた結果、自身の記憶と焼き付けた記憶達が混濁し始めている。
　また、自身に関する記憶…焼き付けられていない記憶が徐々に薄れ始め、思い出す事に時間がかかったり、霧かかったようになっている。
　それでも尚、今も尚欲望と意志に突き動かされ、さらなる高みを目指し戦っている。目指すはリエゾンロード。
…そこに辿り着いた時、彼が“春日恭二”なのか“マスターディアボロ”なのかは、知る由もない。

……だが、微かに変化の兆しが芽生えている。確かに捨てたはずの日常への欲求が、すでに掠れたはずの感情が、他者との繋がりが、徐々に芽吹いているのだ。
　苦悩の末、全て受け入れ己が心の道をいくのか。
　苦悩を捨て、今まで通りの己が欲望の道をいくのか。
　どうなるのかは、ただ一人マスターディアボロのみが知る。

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