容姿・経歴・その他メモ
【プロフィール】
とある神社に守り神として祀られている稲荷神。神としての名は『弥都波能白之三狐神(みずはのはくのさぐじ)』。
その神社は、元は降雨の少ない地域である場所に存在していた村の村人たちによって降雨と豊穣を祈って作られたものであり、建設時期は平安時代にまで遡る。
当時は村の風習によって神聖な場所と伝えられていた山奥に建てられたために、社の場所は村のあった場所からはそれなりに離れていたものの、村人は参拝のために何度も社を訪れ神事を行ったりして長くそれなりの来訪者があった。
フユはそんな山奥の神社の神であるが、最初からその社に存在していたわけではない。
彼女は室町時代に別の場所からその山に移り住んだ妖狐であり、神社とは無縁の存在だった。彼女は山に移り住んで初めて神社を訪れ、その時に神社には神が存在していないことに気付く。
神は人の前に姿を現さないがために村人はそれに気付くことはなく、それまで村人は神の存在しない神社に参拝していたのだ。
それを見たフユは、「自分がこの神社の神を騙って居座れば、村人の用意する供物で生きることにも困らず、人からの信仰心を糧に妖力を高めることも出来るのではないか?」と考え神社の神に成り代わることを決心する。
それ以降、彼女は神社に居座り供物を勝手に食べたりと好き勝手な生活を過ごすようになる。村人の方はと言うと供物が食べられているのを見ては「神様が供物を召し上がったのだ」と疑うどころか一層信仰心を高めるようになっていた。
それからも彼女は、村人の信仰心を維持するために水を操る能力を用いて雨を降らせたり、時折ほんの少しだけ村人の前に姿を現したりと偽の神様活動に邁進していた。
そんな生活を送って数十年、気付けば彼女には偽の神様ではなく正真正銘の本物の神様としての神格が芽生えてしまっていた。
ただ自分に騙されて供物を捧げ続けるだけの使いのように思っていた村人たちにはいつの間にか愛着を抱き、彼らの生活を見守ることに喜びを見出すようになっていたのだ。
そんな心情の変化を経た彼女は今更神様をやめる気にもなれず、それからは守り神として村人と共に在ることを決意していた。
しかし時の流れと共に人の生活は発展し、信仰は薄れ、村から都市に移り行く人は留まることはなく、ついには彼女を信仰していた村は廃村として誰一人存在しない場所になってしまった。
そして、元は妖狐として移り住み、神様を騙り、本物の神様となった彼女はただ一人その神社に取り残されてしまったのだ。
それからまた数十年、日に日にその神力も弱まり、社も荒れてゆき、現在に至るまでただ消える時を待ちながら神社の中で過ごす日々を送っている。
【パーソナリティ】
長く白い髪に、狐の耳と揺らめく水の尾を持った少女の外見をした神様。
元は妖狐であり、人に化けることは可能であったものの本来の姿は動物らしい狐の姿だった。しかし神格を得るうちに人としての姿の方が彼女の普段の姿になり、更には神力の低下によって今では狐の姿を取ることの方が出来なくなってしまっている。
性格は神様らしくやや高慢な所もあるものの基本的に穏やかで優し気。
元は妖らしく狡猾で、人を誑かすことに愉悦を覚えるような悪の側面の強い性格であったらしいが、神様としての長い生活のなかで変わってしまった様子。
ただしそれでもどこか悪戯っぽい節はまだ残っている。
それでも最初から神様として生まれた存在ではないためかどこか人間味のある感性をしており、自分の半生にも不満はないものの「神様なんぞ騙らずに妖として暮らしていれば、今頃九尾の大妖狐にでもなれていたかも知れんのになあ」と社で愚痴を溢すことも。
【神使ユキミについて】
フユがまだ神格を得る前、神様を騙って神社に居座っていた頃に見つけた小さな妖狐。
同じ妖狐仲間として食事を分け与えたりして、神社で共に暮らしている。
フユが元は妖狐であったことを知っている唯一の存在で、フユが最も本音を話せる話し相手でもある。