容姿・経歴・その他メモ

　酒カスだけどカスじゃないUGN支部長。

　お酒とつまみが大好きだったので、オーヴァードに覚醒する前は自営の小料理屋で料理人兼店主をしており、ちょいちょいつまみ食いしつつ常連客と良い酒トークをしたり愚痴を聞いてあげたりしていた。その仕事の中でとある女性と出会い、結婚、そして子宝にも恵まれた。

　はずだった。

　出産に立ち会ったその日。妻の股から息子の頭が見えた瞬間、分娩室は炎に包まれた。その場にいた医師や看護師、そして当然妻までもが焼き尽くされていく。その非日常に混乱しているうちに、とうとう俺自身も燃やし尽くされてしまった。視界はブラックアウトし、この人生の終わりを見た。

　……目が覚めると、知らない病室だった。「UGN」という組織の病室らしい。俺の隣には点滴をつけて眠っている息子の姿があった。

　曰く、息子は生まれながらにして「オーヴァード」という存在らしい。その異能が暴走し、あのような惨状を生み出してしまったそうだ。

　そして、あの場から五体満足で生き残った俺自身も、また。小難しいことを言っていたが、とにかく精神的ショックで息子とお揃いのオーヴァードに変化した。息子ほど強い力を持っていなかったから扱いはとても楽だったが……。

　その後、UGNのとてもお偉いさんである霧谷さんから説明をまた受け……息子はUGNチルドレンとして育ててもらうことにした。流石に俺だけの力で力を暴走させ気味な息子を育て上げるのは無理だと感じ取ったからだ。流石に週に1回は会いに行くことにしたが……現在13歳の可愛い我が息子。残念ながら反抗期も相まって俺より霧谷さんを慕っているようだ。


　オーヴァード覚醒後、俺もUGMエージェントにオファーされたので戦闘訓練にお試しで参加してみたが……やはり、実践向きではあまりないらしい。剣を作ってぶん投げる……中々厨二心くすぐられて楽しかったが、他の人達よりも威力が弱かった。時間操作能力者であることに気が付いた時はウキウキルンルンだったのに、現実は無常なものだ。

　結局、今まで通り小料理屋をやりながら時々UGNエージェントの休憩場所として場所を貸し出したり情報収集を手伝ったりするという形で協力することになった。お陰様で常連客の人数が増え、少し賑やかな生活を送るようになった。任務の失敗談を聞いてあげたり、FHの悪口を聞いたり……。

　そんなある日、俺の店に珍客が訪れた。＿＿霧谷さんだ。

「この辺りに支部を置こうと思いまして。貴方に複数のエージェントから支部長に推薦する声があがっています。いかがですか？」

　なるほど、どうやら元の仕事の一環として続けていた客の話を聞くというスキルが評価されたらしい。実際に前に出ることは他エージェントに比べたら滅多にないし、まぁいいか。

　とか引き受けたら、なんだこの仕事の量。書類の山。酒を飲まなきゃやってられない（元々常に飲んでた）が、飲む時間すらない。推奨飲料は日本酒でも焼酎でもなくカフェインの塊、コーヒーだ。馬鹿野郎、カフェインとアルコールの同時摂取は死ぬんだってば。

　仕方がない、ない時間は作るしかない。俺の時間を無理やり拡張して、夜の小料理屋までに書類を片付けて、休憩に酒を飲んで……

　あぁ神様。俺にこの能力をくれてありがとう。多分この世の中で一番俺がこの能力を活かしてる。

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