一般家庭に生まれ、町工場で働く父親の仕事を手伝ったりしながら、二人の下で幸せに暮らしていた。



　しかし三人での団欒の最中FHとUGNから逃げて来ていたとあるオーヴァードが襲来。彼の戯れでレネゲイドウィルスを感染させられた刃は不完全な覚醒を果たし、その所為で刃はそのまま暴走して自身を感染させたオーヴァードと、そして勢い余って自身の母親を殺害してしまう。



　しかもオーヴァードはUGNやFHのエージェントを撹乱する為に敢えてワーディングを使用しておらず警察が駆けつけてしまい、そんな中一部始終を見ていた父親、和人は刃を守る為に彼の罪を被り警察に自らの身柄を引き渡してしまう。


　勿論警察は今回の件の下手人が和人ではない事に気付いてはいた。
　しかし事件の種類が種類だったので余り今回の件を公にしたがらず、何よりUGNやFHの横槍を嫌った当時の反UGN・FH派閥の警察官僚が何とか警察のメンツを守りつつ“事”を穏便に済ませようと和人の工作にのっかかりあの手この手で事件は収束させ、そして刃が意識を取り戻した時にはどうすることも出来ない所まで事態は進んでしまっていた。

　刃はそれでも和人の冤罪を晴らそうとしたが、事件を早々に終わらせたい警察がそれを受け入れるはずもなく、警察は敢えてレネゲイドウィルス等の事情を知らない者に刃の対応をさせて刃の供述を突っぱね追い返した。

　そんな時にUGNからの依頼で“刃とその家族を襲いその後刃に返り討ちにされたオーヴァード”を追っていた、当時駆け出しだった猫川美亜が刃と接触をはかりその対価として刃と個人的に伝があったUGNの幹部との連絡を繋いでくれた。

　事態の詳細を聞き責任を感じたUGN幹部が色々と警察に働きかけてくれたお陰で、和人は無罪とまではいかなくともかなり減刑されることになる。

　和人を助けてくれたことに恩を感じた刃は少しでもその恩を返すために、そして何より自身が殺してしまった母親と自身が冤罪を掛けてしまった和人へ償いのために、いつの間にか完全に制御下に入った自身の能力をUGNの下で振るう事を決意する。

　それから刃はUGNエージェントとして人々を助け、時に多大な借りを作ってしまった猫川の無茶振りに付き合わされながらも、過酷な戦いの中に身を投じる日々を過ごしていく。

　────これ以上いつかの自分自身を生み出さないために