容姿・経歴・その他メモ

「私、戦闘は専門外でして。皆さんの後ろでのんびり観戦していたいのですが」
「鑑識なんて職業には就いていますが、やる事と言えば痕跡が残ってないかルーチンワークで探すだけ。情報収集なんて能動的な作業は出来ませんよ」

　プロジェクト・アダムカドモンの生き残り。現在は警察で鑑識として働いている。
　UGN改革派のアッシュ・レドリックの息がかかっており、警察に送り込まれたスパイでもある。
　警察が得た情報を改竄してレネゲイドを秘匿したり、情報をアッシュに横流ししてUGNが動きやすいようにしたりしている。
　存在自体がUGN穏健派である霧谷雄吾の負の遺産でもあるため、多少派手に動いてもUGNによって隠蔽されている。アッシュはそれも込みでカナエを懐刀として警察に忍び込ませている。

　警察業やスパイの傍ら、時折遠い目で空を見上げる事がある。

「……彼女にも、この空を見せたかった」

　プロジェクト・アダムカドモンでの実験概要は『高濃度レネゲイド下で発生した精神的ショックに起因する、オーヴァード能力の変化と向上』で、同じ被験者として絆を結んだ少女を自らの手で高濃度レネゲイド下で殺めている。
　少女の愛称は“ソラ”。いつかアダムカドモンの施設を共に脱出して本物の空を見よう、という意味でカナエが付けた。カナエという名前はソラから贈られたもの。『笑って過ごせる日々が叶うように』という意味であり、漢字で書くと“叶笑”となる。
　カナエが普段へらへらと笑うのは、ソラから贈られた願いによるもの。
　実験の概要に薄々勘付いていたソラは、カナエの願いに応えられないと知りつつも愛称を受け入れ、カナエだけでも生きて施設を出られる可能性に賭けて実験を自らの意志で受け入れた。
　最終実験の当日までカナエは気付く事も出来ずにソラを殺める事となった。

「アダムカドモンの研究者は揃いも揃って見る目が無かった」
「私なんざより、ソラが生き残るべきだった。私より余程強かった、彼女が」

　理不尽に誰かが虐げられたり搾取される事はカナエにとって地雷であり、笑う余裕すら無くなる。
　もしかすると、本来の彼はそちらなのかもしれない。

「随分と気分が良さそうな事ですねぇ。虫唾が走る」

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