髪

白

瞳

黒

肌

黄土

　N市UGN支部である喫茶店の、雇われ店長をしている。N市支部に所属するエージェントであり、N市支部長である虚狐銀（https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/dx3rd/?id=XpNhPa　）を、孫かのように溺愛している。

　エージェントとして、任務の一環だと思いバリスタの勉強を始めた。今となっては、ドハマりして日夜淹れ方やブレンドについて研究している。最近の悩みは、誰もコーヒーの試飲をしてくれないこと。

　荒くれものに紛れ、その日を享楽的に生きていた。窃盗、傷害を繰り返し、希望の一切を持てないまま青年になった彼は、ある夜、抗争に巻き込まれて死の淵を覗いていた。路上で倒れていた彼を拾ったのは、法外な実験を繰り返す研究室だった。
　幸い、彼には特殊な性質や強固な精神はなかったため、実験体にはならなかった。しかし、荒くれものに紛れて得た暴力を活かせるだろうと研究室の一員にされた。行く当てなどない彼には、その研究室が救いの手のように思えた。

　そうして言われるまま研究室に居着き、数年が経過する。実験にも慣れ、信頼されるようになった彼は、ある実験体の世話係になった。その実験体は、人型だった。髪が長く、白い手足を持った、人間だった。その人間は異様な環境に生きていきながら健気に育った。順当であるが、その人間は世話人の彼を慕うようになり、彼は絆された。己の居場所がどれだけ常から離れていたのか認識してしまった彼はその人間ともに逃げ出すことを決めた。
　
　当然ながら、簡単なものではない。当時彼には逃げ出す場所に当てはなく、公的機関に係れる身分をでもない。追われるまま各地を点々とすることになった。そこへ神の援けとばかりに出会ったのが、UGNの前身となる組織だった。
　結局、その人間は場所が変わっただけで実験体ということは変わらなかった。だが、かつて仕えた研究室のような非道は決して行わず、彼はその組織に恩義を感じた。その恩と返すためならばと、彼は組織の暗部に所属し、粉骨砕身で奉仕しようと決めた。

　配属されたそこは、今よりずっと弱く脆いバケモノ─ジャーム─を狩るものだった。過酷でこそあれ、これまでのような泥濘んだ日常とは違い、ぬくもりに包まれていた。顔を合わせる時間は少ないが毎日挨拶をして、雑談に興じることができた。その中でその人間は成長していく。いつまでも続くと思えた日常は、ある日突然崩壊した。
　飛行機テロ。それはレネゲイドに関わる全ての者が知っている事件、それが発生したからだ。当然、彼もその人間も影響する。実験などという場合などではなくなり、その人間は実験室から離れることになった。それによって彼は顔を合わせる時間が増えたと喜びこそすれ、実験室から離れた実験体がどうなるのか、想像しなかった。

　新体制となりUGNと名を改めた組織に、生涯仕えることに決めた。

銀と出会う→N市支部に転属→好々爺now！