8歳の時、実の両親が抱えていた借金の方に捨てられた少女
扱いに困っていたその組織の人間たちだったが、そこにやってきていたパトロンの1人の男が瑞奈の中に宿るオーヴァードの素質に気付き、引き取られることとなった

そうして辿り着いた先は俗世の常識の外の大屋敷。
家の主人である義父は自分の力の象徴である『弓』に相応しいものを生み出すため、何十人もの妾を抱えて子を作らせ、同時になり得る才を持つ子供を見つけては金に任せて家に引き入れ、挙句その子供達にお互いに武器を持たせ競わせる(殺しあわせる)などという。鬼畜によって生み出された地獄が広がっていた

本来なら反乱が起きかねなかったが、義父による暴力と教育(ちょうきょう)係による洗脳まがいの精神汚染により誰一人逃げ出すものは居なかった



4年間そこを生き延びた頃には、人間が所狭しと居た屋敷は広々とし、10人程度まで候補が絞られていた。
なお、瑞奈がそれまで生きていたのは単なる偶然である。母親のいるものらと違い守るものも無く、4年間経ってもオーヴァードの力を満足に引き出せないことから次代候補筆頭の少年の奴隷として扱われ、義父を含め他の者達からは居ないものとして捨て置かれたからである

しかし、その日々は大きく変わることとなる。
『弓』継承の儀、そこで肝心の本命が弓を持ち、矢を撃ちはなったところ、その矢はなぜか的へ飛ばず。有り得ない軌道をもって瑞奈の喉笛を貫いた。


死を確信した瑞奈、だが現実はそうではなかった。
矢は消滅し、傷などなかったかのようになった上、オーヴァードとして、『弓』の使い手として覚醒したのである



その後家の中での立場は変わる。誰もがなぜおまえなんだといい、気持ちでは決して認められることはないが、しかし屋敷内のヒエラルキー最大の証となる『弓』の所持者。誰もかつてのような扱いはできず、腫物を触るように接されるようになる。
前までの扱いで卑屈さが染みついたその身体にはこの扱いはあまりにも耐え難く。全てを置いて屋敷から逃げ出そうと試みる。
けれど『弓』から逃れることはできず、流れ着いた先のUGNでは適正から狙撃部隊に配属されることとなった