父親は士族由来の政治家家系。その成り立ち故に実力・行動主義の意識が強く、どちらかというと成り上がりの力が強い特性を持つ。だからこそ内外に敵が多く、その家の物は多くと探り合い・蹴落とし合いながら政治界を泳いできた。

父もその一人であり、特に裏切りには頭を悩ませていた。そして丁度実力派政治家へと名を連ねた時期は約17年前…つまりは“コードウェル博士の警告"やUGNの設立のと重なる時節。レネゲイドが世界の上層部たちへと大きく公開された時期だった。混乱と政治闘争が激化する中で彼は思った。『排除にしろ共存にしろ、レネゲイドは世界を大きく変える』『そのどちらの方針と取ったとしても、政界の最前線に立つならば必ずや力に関わることになり、自身の排除に使われる機会も増えるだろう』と。故に、彼は力を求めた。決して自身を裏切らない、脅威を振り払うことのできる力を。…そして、純粋無垢な幼子であった自身の娘を『育成の上使用』することにした。

自身が忠実に育成した部下達に、娘と家系由来の古くからの品を授け、娘をオーヴァード化させ。父親を守ることを最重要案件として教え込み、力を磨かせた。…結果として彼は命を守られ、政界での地位は盤石になり。その裏で娘は幼少から力を磨き、感情を揺らがすこともなく、淡々と父を守り続けていた。

ある程度時がたち、UGNという組織の力が強大になり、父親の立場が重要になったころ。その娘の扱いは宙に浮くようになった。ある程度立場を安定させたことで、金銭や政治的契約によるプロフェッショナルを雇い入れることが可能になり。同時に教育も受けさせずに少女に護衛をさせ続ける事は、突かれかねない汚点へと変わっていた。

だから、父は娘に適当な名前を付け、UGNに自己流だった力の研鑽という名目で戦力として提供することにした。