田舎の港町で生まれ、貧しいながらも母の愛を受けて健康にすくすくと育った。
高校2年生の秋、唯一の親族であった母と死別。母は、父が残した借金返済のために休みなく働き、体を壊して亡くなった。
その直後、頼るあてのなかった彼女に｜鴻央会《こうおうかい》(上級p129参照)は、残った借金を返すために働くのならしばらく面倒を見てやると申し出る。
そして彼女は裏格闘技の世界へと足を踏み入れることを決意する。ヤクザにいいように利用されているだけと知りながら、こいつらが母を殺したも同然と理解していながら、それでも、これまで自分の奥底に秘めていた闘争本能を解き放つ場所ができたことに、身体と心を震わせずにはいられなかった。
その卓越した格闘センスをもって破竹の勢いで成長し、みるみるうちに力をつけていった。

1年前まで鴻央会運営の裏格闘クラブのチャンピオンとして君臨していたが、オーヴァードに覚醒したことをきっかけに引退。
借金は既に完済していたが、オーヴァードの研究を進めたい鴻央会関係者に追われるようになる。
そんな面倒事をUGNに情報を流して押し付ける代わりに、その対価としてUGNのイリーガルになることを条件付けられたが、「面倒なことには変わりないし、必要以上に干渉されなくて小銭が稼げるUGNのほうがマシ」と思い条件を飲むことにした。
現在は、治安が良くUGNからの依頼も少ない神有区でのんびり暮らしている。
神有区でお気に入りの場所は海浜公園。故郷を思い出して穏やかな気分になれるため、なにもない日はここでゆっくりと過ごすことが多い。

コードネームは「｜無呼吸姫《ノンブレスクイーン》」。裏格闘クラブで使っていたものと同じで、彼女の得意とする無呼吸連打の様子から、また、それを受けた相手が呼吸するまもなく倒れていくさまから付けられた。
以前は、同じ漢字で「ノンブレスプリンセス」だったが、成人とともにプリンセス呼びが恥ずかしくなったため、クイーンへと読み方をと変えてもらった。

オーヴァードになった彼女は、空気中の水分の密度を操作し、集めた水分に拳や蹴りを打ち込むことで空気中の水分を通して衝撃を伝え、離れた相手の内部にまで振動を与える打撃を繰り出す。
身体能力も覚醒前と比にならないほど向上しており、人間では到底不可能な動きができて自分の限界が広がったと、とても嬉しく思っている。
曰く、「普通の人間とまともに戦えなくなったのは残念だけど、オーヴァードっていう、もっと強いやつらと戦えるようになったのは良いよね。私らって怪我もすぐに治るから、殺さないように加減しなくてもいいのがほんとに最高！」とのこと。
一度、海浜公園の砂浜で、ものは試しと思い切り拳をふるったところ、ちょっとした騒ぎが起きるほどの大きな波を起こしてしまった事があるため、それ以来は反省してオーヴァードの力をむやみに使わないようコントロールしている。

モチーフ：モンハナシャコ