「あっしは片津夢里。ムリでもノロマでも好きにお呼びしてくれていいでゲスよ。旦那」

瓶底眼鏡にお団子ヘア。ひざ下スカートに三下口調の卑屈な女の子。
UGNチルドレンとして小学生時代から働いており，目覚ましい活躍をしてきた。
その成果故か，とある支部に配属後実験体として隔離される。
拷問のような度重なる実験の果てに精神が崩壊しかけた。

それ以来，常に誰かの機嫌を伺うような言動をするようになる。
前支部から保護した霧谷雄吾は，彼女の精神状態から戦闘を避けるべきと判断し，オーヴァードアカデミアへと送り出した。

「へっへっへ，旦那ァ，何をお求めで？」
「ゲースゲスゲスゲス！　愉快でゲスなあ！　人々を笑顔にするのは！」
「どうするんで？　あっしは旦那の行くとこについていくでゲスよ」

物心つく前からオーヴァードに覚醒していた。
膝をすりむいて出た血を使ってあやとりしていたのが初期の思い出。
両親は驚きながらも受け入れてくれていた。
……といっても，とあるジャームの暴走に巻き込まれて二人とも亡くなったのだが。

駆け付けたUGNが発見したのは，結晶化した両親の血液で自身を守っていた少女だった。
トラウマはあったものの，UGNチルドレンとして教育を受け始める。
血液操作技術と戦闘IQの高さが判明し，戦闘訓練を行うようになった。。

「お，あっしにできることがあるなら，がんばりやすよぉ～！」

わずか10歳の頃から戦場で戦い始める。
戦闘の才覚を発揮し始めて2年。12歳の時点でUGNチルドレンとして一人前と呼ばれた。
常識学習の時間を先送りにして戦場で戦い続ける。

「そこ！　あぶねっすよ！」「あっしに任せろい！」

霧谷雄吾が監査部局長に就任した頃，兵器として運用し続けることに疑問が投げられる。
12歳から15歳までの中学の期間は，UGNチルドレンとして戦いつつ，日常を学ぶこととなった。
3年のカリキュラムで比較的人格もまともに形成し，人格者として周囲にも認められるようになる。

「なっはっは！」「あっしが来たからにはもう大丈夫でさあ！」

戦場では味方を守り，援護し，かつ自分でも攻撃性能を備える万能性。
差別偏見なく人々に手を差し伸べる融和性。
硬い鎧と，万能自在の赤マント。【赫円の騎士(レッドスネイル)】と呼ばれ，本人もそれを誇りに思う。

ジャーム【千夜一夜】によるテロ未然阻止
宗教団体【スヴァラキナ】を制圧し，御神体救出
巨大EXオーヴァード【銀嶺】の討伐
その他，有力者の護衛，FHセルの制圧，様々な事件を解決してきた。

そしてそれを評され，UGN日本支部長となった霧谷より，モデルチルドレンの称号を与えられた。

そして1年前。
強い要望があり，とある支部へ異動することとなった。
……が，その支部はＦＨと手を組んでおり，秘密裡に多くの残酷な実験を行う危険地帯と化していた。
騙され，拘束され，実験体として地獄のような半年を過ごした。

「ぁ……え，ぅ……」

報告に違和感を覚えた霧谷が現場を押さえた時には，既に精神は壊れかけていたという。
1か月の療養期間を経て，幾分落ち着いた彼女は，以前とは随分異なる

「すいやせんすいやせん！」
「あっしが悪かったでやす！」
「なんでも，なんでもしやすから……へ，へへ…」


「あっしには，この口調が一番しっくりくるでゲスよ」

・外殻形成：血晶蝸牛(レッド・オーバーシェル)
噴出した血液を硬質化し，球状に変化させて自身を守る。(赫き鎧)
さらに周囲に血液のカーテンを作り出し，あらゆる衝撃を相殺する。(ブラッドコート)
以前は騎士らしい鎧とマントを身に着けていたが，今は殻に籠った蝸牛のような様相である。
「ひいい！　死にたくないでゲス～！」

・外殻変形：赤乱怒涛(レッド・ブレードラッシュ)
硬質化し守護に特化していた鎧と血液のカーテンが形状を変化させ，相手を拘束。(ストレイトブラッド)
身動きの取れない相手に向かって無骨な大剣を大きく振りかぶると，連撃を叩き込む。
「一方的に傷つけられる恐怖を教えてやるでゲス！！」

イージーエフェクト
・ブラッドストーン
血液を結晶化して記憶の宿る宝石にする，というエフェクト。
カメラをとるように指で四角を作ると，その時見た風景をアクリルパネルのようにして保存する。
そんな使い方が好きで，よく記念写真をつくっている。

・ブラッドワイヤ
血で作った糸を張り巡らせて探知したりする。
普段のバディムーヴなどはこれによるサポート。

・バディムーヴ
卓越した援護能力。
血液のカーテンを自在に操ることで，相手の動きを縛ったり，味方が避けやすいように引っ張ったりする。
変幻自在の血液は武器にも盾にもなる。
エフェクトが禁止された環境でも，彼女の観察力と気遣いは役に立つだろう。
「へへ，旦那にはあっしがついてるでゲスよ！」

・モデルチルドレン
UGNチルドレンとして輝かしい功績を為し，他チルドレンたちの目標たれとされる実力の証。
だがその羨望や憧憬の眼差しは凶器にもなる。
彼女は小物らしく振舞い，エンブレムとして渡されたバッジは隠している。
「こ，こんな小物がモデルチルドレンなわけないでゲス～！」

・Aランク：ディフェンダー(コランダム)
学園に登録された，防御能力に秀でた証。
約１万人のオーヴァード生徒のうち10％がAランクに振り分けられる。
注目を集めることを嫌いある程度実力をセーブしていることもあるが，彼女のスタイルは攻防一体。
専業にはやはり劣るものがある。
「あっしにゃ過ぎたものでゲスが，もらえるもんは病気以外ならなんでももらうでゲス！」

そこまで変わらない。
力のあるなしで対応に大きな差異はなく，気楽に下から接する。
「げへへ，どうもどうも先生方。あっしは何一つ校則違反はしてないでゲスよ」
「どわーっ！？　大丈夫でゲスか！？　止血止血！」
「オーヴァードじゃないのに？って，何言ってんでゲスか。あっしごときからすれば皆尊い命でゲスよ」

「ごめんなさい」「ごめんなさい」
「頑張るから」「見捨てないで」
「廃棄はいや」「死にたくない」