彼は何の変哲のない普通の家に生まれた。ただ一つ他と変わった点があるとすれば生まれた時から異形の力を宿していたことである。幸い両親は彼の力を忌み嫌ったりなどはせず理解はあった。しかし、彼の両親には知識がなく彼をどう育てれば良いのかわからなかった。途方に暮れていた時、父親の知り合いにUGNの知り合いがおり、UGNに彼を預けることを提案される。我が子と離れ離れになるということは苦しいが、自分たちでは彼を育て上げることができないという結論となり、彼をUGNに預けることとなった。なお彼自身は幼かったため両親の記憶がほとんどなく、この件に関して特に何も感じていない。

　チルドレンとして一から育てられることとなった。設立間もなかったため霧谷雄吾からも教えを乞うこともあり、霧谷のことを実の親のように思っている。小学生になるころにはUGNチルドレンとして任務に就くようになる。そのため14年ほどチルドレンとして活動している。年齢に比較して活動歴は長く多くの後輩を持つこととなる。ただ、その後輩の多くは彼より早く亡くなっている。その中には同じ任務中に命を落とした者もおり、彼は「自分が不甲斐ないばかりに守れなかった」と考えるようになった。

　UGNチルドレンとして活動を行い、近々エージェントになる予定である。また、後輩たちを守るため、もう二度と失わないため、『後悔しない判断』を心がけている。

　今回も何も成せなかった。しかし当人はこのことにすら気が付いていない。あまりに愚かで罪深い者である。