天才少女の憂鬱、そして新たな夢

杉山　琴葉は生まれつき、類稀なる才能を持ち合わせていた。
幼少期からUGNに所属し、レネゲイド関連の研究に数多く携わってきた。特に、「遺産」のひとつであった、「雷神の戦鎚」の解析について目覚ましい功績をあげ、ついには自身で再現することに成功する。量産化こそ不可能なものの、「遺産」の研究に関して第一人者と言われており、UGN内の研究チームで高い地位に就くことは確約されていた。
しかし、琴葉はその地位を捨てて、FHのエージェント養成学校である「学園」に向かった。
「前線で戦う戦闘部隊」という、彼女にとって「一番向いていないこと」をしに行くために。

「UGNではだれもが、わたしをすごいって言ってた。このままなら研究員として、上に立てるって言われてた。」
「でも、それはつまらなかった。できてしまうことに、面白さはなんにもなかった。」
「だから、わたしはFHに行って、前線で戦うための特訓を受けに行く。わたしに、一番向いていないことをする。」

ままならない日々

琴葉はその頭脳の代償として、生まれつき肉体は虚弱そのものであった。なにせ運動どころかちょっとウォーキングしただけで息も絶え絶えになるのだから。学校の授業は基本的に免除されていた。勉強はしなくても何の問題も無く理解できるし、体育は下手にやろうものなら救急車を呼ぶ羽目になる。
それでも、UGNで研究者として生きるのであれば、肉体の貧相さは気にせず生きていくことができただろう。しかし彼女は、FHに行き、日々生死の境目を彷徨いながらトレーニングをしている。
というかトレーニングの最中で力尽き倒れて保健室行きになっている。
チルドレンの戦闘部隊としての評価はほぼミソッカスと言っても問題ないが、琴葉はこの「できない、ままならないこと」に対して楽しみを感じており、毎日全力で立ち向かっている。そして毎日倒れている。
なお、校内で倒れたままだと廊下がふさがるので、彼女自作の輸送ロボットの持ち込みと、自身の保健室への輸送が学園から認められている。

杉山　琴葉の日常

彼女の武器は、学園で自作した投げ槍。FHがかつて遺跡で発見した武器を、彼女なりに分析し複製したものである。それを、「遺産」の力で強化し電撃の投げ槍としている。槍の一投は高い威力を誇るが、投げるたびに反動で体力が尽きて倒れる諸刃の剣である。
というよりちゃんと投げるだけの体力が無い。何なら投げ方を間違えて肩を脱臼することもしばしば。
学園では貧相な肉体でもとりあえず最低限何とかするため、デイサービスのリハビリのようなトレーニングをしているが、それでもなお力尽きて倒れるほどのか弱さ。
彼女を担当するトレーナーは「HPが1しかないから丁寧に扱うように」と引継ぎを受けるところから始まる。

なお好きな寿司はコウイカ。本人曰く、「硬くて嚙み切れないからすき」らしい。

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