捉えどころがなく飄々とした印象。人相はあまり良いとは言えず、身なりや口ぶりからも胡散臭がられることが多い。だがその実正義感溢れる性格で、世界の平穏を第一に考えることができる。また、人への忠誠心や組織意識の強さから上司からの信頼は得やすく、頼り甲斐のある立ち居振る舞いから部下からもそれなりに慕われている。話口調がストレートでちょっと毒を含んでいるところが少し残念。

　マーリンの両親は、物心がつく前に交通事故で亡くなっているため、両親の顔に関しては全く記憶に無い。その代わりに、母方の祖父母に育てられてきた。祖父が警視庁の重鎮であり、正義感に溢れた人物だった。マーリンはそんな祖父の背中をずっと見て育ってきたため、自分も同じように警察官を目指すようになった。祖父は既に亡くなっているが、マーリンは祖父の意思を今も胸に抱き続けている。
　覚醒するまでは、警察官にありがちなごく平凡な人生を送ってきた。高校までは友情と恋愛を謳歌し、それからは警察学校を卒業し、警察官となった今は高校時代来の彼女と結婚し、娘キャシーも生まれた。齢 24 にしては些か出産が早かった気がしないでもないが、それでも間違いなく努力の末に手に入れた幸せだった。だがその娘が 6 歳となるある日、マーリンはジャームに遭遇し、愛娘であったキャシーを失った。マーリンは自分の無力さを嘆き、娘を殺した目の前の怪物に怒り狂った。それが引鉄となったのか、マーリンの内に秘めた能力が覚醒し、自身も光と雷を放つ怪物となってジャームと交戦した。
　覚醒してからは、公安と言う立場もあって UGN エージェントとしても活動することと相成った。オーヴァードになる以前にも、公安として数々の死線を乗り越えてきた男だ。世界の平和を守る能力を手に入れては将に鬼に金棒。怖いことなど何もなかった。だが娘を失ったその悲しみは、今もマーリンを苛み続けている。俺と同じ轍を、二度と踏ませない。その想いを胸に、マーリンは今日も銃を握る。

　かつて FH と交戦したときに両腕を失う大怪我を負った。その際にマーリンの義手を作る序でに、小型のレールガンが義手に搭載された。今のマーリンは、両腕に埋め込まれたレールガンを、二丁拳銃のごとく巧みに操って攻撃する。侵蝕値がある値を超えるとエネルギーが充足し、より強力な紫電を放つことができるようになる。銃口から放たれた電光は須らく｜敵《ジャーム》を捕らえ、一匹たりとも逃さない。全てを喰らい尽くす幾多もの電光には、アーサー王伝説に登場する弓に準えた名が冠されている。また、狙った獲物を逃さず捕らえるその様子から、コードネームには「狼」の名がつけられている。