先代からレネゲイドについての理解があり。研究者であり。またその力の保持者でもあり。であればそこに受け継がれるのは至極当然のことであった。
　しかし、とある代に産まれた子供はその力を受け継ぐことはなかった。周囲は嘆き、訝しみ、疑念の視線を向けられながら幼少を過ごす。その視線が妬ましく、また羨ましく。その結果、子供の欲に火を灯すこととなる。
　家中にあった資料を読み漁り、周囲の目を盗み保管されている遺産やオーヴァードと接触し。自身の肉体を変容させようと様々な手を打ってその力を得ようと奔走する。
　貪欲に渇望した末。男の｜覚醒《めざめ》は存外早いものだった。10代半ば、本来そこに存在したであろう学生生活もそこそこに。得た力についてやその代償、その変異性について学びを深めることとなる。
　故に、実は前線より研究職、ひいては教育者としての方が肌に馴染む自覚はあるものの、己に振って掛かったものはあまりにも前者向きであるため、任務の合間を縫ってはチルドレンへの指導であったりRラボへ立ち入ったりとしている。

　十数年前。とある機をきっかけにちいさなこどもを保護することとなる。出自も何も分かったものじゃないが、ただそこで潰えていいものではない、と判断したため拾い上げることに。
　最初こそ誰かを育てる、守る、などと行ってきた例もないため、かなり四苦八苦したものの、どうにかこうにか長い月日を費やして距離を縮めることとなる。今ではすっかり「おとうさん」が板についた様子。
　彼女には健やかで自由であってほしい。何かを強いることや押し付ける真似はしたくない。その思いが強く出ているせいか、娘に対していつまでも甘やかしてしまう癖がある。危ない事させたくないよ～！！　

Sapphire
　3年前の衝突を目の当たりにし、院瀬見に対しては「手のかかる子供」の認識があるため割と様々寛容。此度の件についても「またなんか持ってきたな～」くらいの認識。手を借りたい、というのであれば喜んで手を貸そう。ただもうちょっと素直になってくれれば可愛いのになあ。
　中身がどうであれ助ける、手を貸す、に理由は必要ないと思っている。お前さんも可愛いガキンチョだもの。



　院瀬見からの言葉により燐灰支部の支部長として名乗りを上げる。中々慣れないことは多いがどうにかこうにか支部長として日々忙しく働くことに。
　可愛い娘と青年の将来だったりを見守りながらこれからを過ごすつもりである。


「ま、なんとかなるでしょ」