幼少期、家族と共に向かった海外の有名な化石発掘現場に訪れた時、事件は起こる。
　朧気な形しか持たぬ歪んだ化石。生物ですらない太古の遺物はただの岩と認識されており、発掘現場付近で子供が触った程度であるのなら、注意喚起で済むものだったはずだが、その偶発的な接触こそが進治郎の不運であり、それらは当時では存在の確認もごく少数であった"遺産(レガリア)"とも呼ばれる強大なEXレネゲイドであった。

　複数の遺産に触れた進治郎は、幸か不幸か、それらの遺産に適合し、即座にオーヴァードへの覚醒に至ると同時に遺産による災害を引き起こしてしまった。彼が触れた遺産とは"太古の地球の力を模した遺産"であり、目覚めると同時に、それらのレネゲイドの力を解放し、始原の地球である溶岩と風の荒れ狂う凶悪な大地へと書き換えてしまったのだ。

　その後、一足先に登場したのはUGNではなくFH。彼は小学生程度の幼少期に不運な巡り合せにより、FHのエージェントとして強制的に保護され、少年期を戦場で過ごした。小学生程度の年齢から学ぶには早すぎる闘争と、UGNとの抗争。

　疲弊し、磨り減る心の中で、彼がFHで出会ったのは師父である『白 博文(バイ ブォウェン)』との出会いだった。

　白 博文(バイ ブォウェン)は磨り減っていた彼にとっての第二の父親に近い存在であり、既に老齢の身でありながらも進治郎に対する武芸の訓練相手であると共に、様々な事を教えてくれた人。白髪が目立つチャイナ服の似合う老体で、徒手空拳による暗殺術や武器を用いた武芸全般に長け、FHにてチルドレンに対し、稽古をつける担当だった。

　進治郎の事を「息子によう似ておるのじゃよ」と理由付け、食事や勉学だけではなく、娯楽や社会についての常識など様々な事を学び、任務への嫌悪感は続いていたものの、唯一の心の拠り所として、寄り添い今の情緒を保てていたのだった。

　ある日、"師父"白 博文は進治郎に問うた。「お主は何をしたい」と。

　進治郎は悩み、質問の意図を探ろうとしつつも、素直に答える。「僕は、誰かを守ってみたいです」

　そんな短い問答の後、とある事件により、進治郎は"師父"との対決の後にFHを強引に脱退し、日本での偽装戸籍を入手していた。彼が故郷に帰還しても、最早彼の足跡は全て無かったのだから。