黎が生まれた時に、母の身体は黎を生むことに耐えられなかった。
生まれながらに母を殺して生まれた黎と父の間には、表面上は普通の家族であっても見えない亀裂が存在していた。
そんな環境で育ったゆえに、人の発言を繊細に察知して波風を立てないようにする臆病な性格に育っていった。

この性格が災いして、黎は小学校時代に虐めの対象となっていた。
どんなことを言われても笑って従うが故に、都合のいいサンドバッグとして扱われていたのだ。

そんな彼を助け、叱責してくれた存在が居た。
"有瀬　巴"という同年代の女の子だった。

虐めを許さなかっただけでなく、抵抗しない黎の在り方にも怒っていた彼女のお陰で、黎の在り方は変化していった。

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それからの中学生時代は巴のお陰で徐々に明るい性格になり、言いたいことも言える性格となっていった。
高校生になる直前の頃には、巴が隠していた裏の顔―――UGNの存在を知り、追い詰められていた巴を覚醒した力で助けてみせた。
そこで初めて、対等になれたのだ。

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厳密には前世の記憶ではなく、未来の記憶である。
未来で「何か」が起き【久遠寺 黎】が何らかの力で過去の自分に戻ってきたのだが、戻ってくる際に未来の記憶を失ってしまったのだ。
黎は、失った記憶に違和感を覚えながらも、再び「何か」が起きた物語へと足を踏み入れるのだった。