「何処に行きたいの？お姉さんが連れて行ってあげる」
「お目当ての情報よ。代価はそうね……今度一緒に食事でもどうかしら」
「Every rose has its thorn.触れなければ傷つくこともないのに。お馬鹿さん」

一人称：私、お姉さん
二人称：あなた
三人称：オーヴァード⇒コードネーム　友人、一般人⇒名字+さん
趣味：マッチングアプリ、婚活パーティ

少し気だるげに喋る女性。柔らかい髪質の白髪やよく着ている淡い色の服も相まって、少しふんわりとした雰囲気を纏っている。
表裏を跨いだ情報屋をしており、見合った対価を貰えるならば一般人やUGNとも取引をすることも厭わない。
自身の能力としては情報収集よりも人脈や管理能力のほうが優れているため、仕事内容は情報屋同士の仲介役がほとんど。
長い間恋人募集中で、隙を見つけては出会いを求めて声を掛けている。誰にでも一度は誘っていることから、性別や年齢は特に気にしていないようだ。

「思えば、そうね。幼い頃から私の周りはみんな優秀な人だった気がするわ。
　双子でオーヴァードじゃないはずなのに姉さんは器用だし演技もすごく上手で、アナウンサーなんて目立つ仕事をしているのに未だに裏の顔もバレていない。
　一方私は今でもお友達にもいつも助けてもらってばかり。え？別に卑屈になんてならないわよ。“お友達”に恵まれているのが私の才能だって、知ってるもの。
　えっと、話が逸れちゃったわね。だから何故だか昔からそういう人が多くて、『あの人』もやっぱりそうだったの。
　優しくてかっこよくて、もちろん頭も良くて、将来が有望されていて。あの人のことが好きだったのは、きっと私だけじゃなかったんじゃないかしら。
　でも海外に留学しちゃうって聞いて、すごく悲しかった。なんとかして傍に居られないかって、色んなことを試したわ。勉強も頑張ったし、バイトをしてお金も貯めようとしたし。その話を聞いたのがそもそも出て行っちゃう1ヶ月くらい前だったら、全然間に合わなかったのだけど。
　いっそのこと海の向こうまで泳げたなら、すぐにでも追いかけられたのにって。そう毎日思っていたの。そしたらね、いつだったかしら。別にいつだっていいわね。本当に遠くまで泳げるようになってたのよ。
　もう嬉しくって嬉しくって、急いで会いに行ったわ。
　でもね、あの人は喜んでくれなかった。
　今考えたら当然の話なんだけれどね。だって、別にあの人とはお友達ですらなかったのだもの。私が遠くから見ていただけ。頭の中で勝手に“もしも”を妄想していただけだったのだから。
　その時舞い上がっていた私はそんなこと全然思い至らなくて、だからただとても悲しかった。
　拒絶されたのが悲しくて、それでも一緒に居たい気持ちは消えなくて。
　気がついたら私、血塗れでお腹いっぱいだったのよ。本当、嫌になっちゃう話ね。
　それからずっと続く宙ぶらりんなこの好きの気持ちは、どうしたらいいのかしら。
　私はね。また新しく好きな人ができて、素敵な恋ができたら、また胸がいっぱいになるんじゃないかって、そう思ってるのだけど。だからお誘いを受けた時にUGNよりも好きなことが自由にできそうなFHを選んだの。
　ねぇ、あなたは私のこと……」

戦いのセンスはそこまで高くないため狩りは苦手だが、どんな理由であれ近づいてきた者を捕らえ喰らおうとする。
特に危害を加える思惑があるものには衝動のまま急所を狙う。野薔薇を握る手には容赦なく棘の牙を返すのみ。